アレルギー・免疫研究室

耐性化確認のための経口負荷試験法に関する研究

小麦の低抗原化食品(低アレルゲン小麦)およびうどんを用いた負荷試験により小麦アレルギーの耐性、非耐性検討し、患者血清中の小麦抗原に対するω5グリアジンIgE抗体レベルを検討した。小麦の耐性化に伴いω5グリアジンIgE抗体は著明に低下し、非耐性群では高値が持続した。またω5グリアジンIgE抗体は、誘発の重症例で高値を示し、軽症群では低値であり、負荷試験の誘発の予測に有用と思われた。本研究は2007.2.25のAAAAIサンジェゴ(柴田)で発表した。

乳幼児の食物アナフィラキシーとラテックスフルーツアレルギーに関する研究

乳幼児の多種食物アレルギーでは、フルーツアレルギーが高頻度にみられ、バナナ、メロン、キウイアレルギーにおけるラテックス感作例48例の臨床、リコンビナントラテックスヘベインbのIgE抗体を検討した。ラテックスアレルギー誘発ではヘベインb5、b6に対するIgE抗体の陽性を示し、非誘発でのIgE抗体陽性ではヘベインb8IgE抗体陽性と抗体分布が異なっていた。第11回日本ラテックスアレルギー研究会を2006、7.23、(福岡)にて開催し、会長講演(柴田)として発表した。

アトピー乳幼児のゴマ感作率に関する研究

最近ゴマのアレルギーが増加しており、海外でも注意が喚起されている。当院小児科のアトピー性皮膚炎、食物アレルギーにおける2001年と2005年のCAPIgE抗体によるゴマ感作率を検討した。2001年群:602名、740検体、2005年群:926名、1242検体を検討した結果、ゴマの陽性率はいずれも40%以上であった。また乳児期前半より10~20%に陽性者がみられ、母乳による感作が原因と考えられた。6歳以降も感作率が高く年齢が増しても低下しにくいと考えられた。第55回日本アレルギー学会(田中)、第7回食物アレルギー研究会(柴田)で発表した。

当院における食物依存性運動誘発アナフィラキシーの現状

過去8年間に当院で入院検査した19例の誘発食品、臨床像を検討した。8歳から16歳で男児16、女児3であった。14例が学校給食後で運動はサッカーが最も多かった。原因アレルゲン食品は小麦8例エビ7例、イカ、ほうれん草1例が確定例であったが、魚2例、乳製品2例、山芋1例など他の食品は典型的な例ではなく一般に運動で誘発される食物アレルギーとの鑑別が困難であった。第55日本アレルギー学会(池井)にて発表した。