リウマチ研究室では、関節リウマチや膠原病などの診療を行う中から、リウマチ性疾患の肺病変について検討していくことを主に活動を進めています。リウマチ性疾患の肺病変は、膠原病はひとくくりにされることもありますが、実際は非常に多岐にわたっており、病態の解析はまだまだ発展段階にあります。症例の蓄積をもとに判断および治療法についての新たな知見を得るべく努力しているところです。
関節リウマチ自験症例の肺病変の検討
当院は、呼吸器の専門病院である特徴からリウマチ科に受診する患者における肺病変の合併頻度が高い傾向にある。そのため関節リウマチに合併する肺病変の特徴を臨床的に検討していくことは非常に有意義と考え、先ずは症例を蓄積することから始めている。アメリカリウマチ協会の診断基準を関節リウマチの症例で胸部X線写真がある、127例について肺病変の有無を検討すると、胸部X線写真上異常を認める症例は84例(66.1%)と高い頻度でみられた。84例の症例の肺病変の内容は、間質性肺炎36例(そのうち器質化肺炎8例)、結核あるいは非結核性好酸菌症13例、結節性病変あるいはgranuloma8例、気管支拡張症8例、胸水7例、肺気腫6例、GGO/opacity4例、Consolidation4例、細気管支炎2例、気管支炎2例、肺癌1例、その他13例(症例の重複あり)であった。間質性肺炎を合併した悪性関節リウマチ症例に肺胞出血を繰り返しきたした症例など興味深い症例もみられた。呼吸器科が中心の当院の特性もあり、頻度には偏りがあると考えられるが、今後さらなる症例の蓄積と病変の経時的変化も含めた、検討を行っていく予定である。
関節リウマチ患者に対するプール療法について
関節リウマチ患者のリハビリにおいて、プール療法が有用であることが知られている。当院にある25mの温水プールで水温を32℃として水中歩行による運動療法を、週一回おこなっている。患者さんの運動能力は向上しており、筋力測定を定期的に行うなど、経時的な評価を行いその効果を検討している。
iR-netによる『関節リウマチの内科的治療の検証に関する研究』への参加
国立病院機構免疫ネットワークでは、全国規模でのリウマチ患者さんの実態調査を行いデーターベースを作成し調査している。そのデーターベースはNinjaとして公開され、国立病院機構相模原病院を中心にして数々の解析が行われている。当院ではリウマチ科としてデータ登録に平成15年度より参加協力を継続して行っている。