心療内科ってなぁに? 第6回 「脳の異常」と身体の症状

「脳の異常」と身体の症状

“ストレス”とは、「ストレッサー(ストレス刺激)」+「ストレス反応(生体反応)」

“ストレス”は「脳」で処理されています。

“ストレス”が強すぎたり、長く続いたりすると、「脳の異常」が生じます。

「脳の異常」というと抑うつ症状不安症状などの“精神の症状”を思い浮かべる人が多いと思いますが、「脳の異常」は“精神の症状”だけでなく“身体の症状”も引き起こします。

どうして「脳の異常」があると、“精神の症状”だけでなく“身体の症状”も生じるのでしょうか?

「脳」と「神経」について

「脳」は「神経」とつながっています。 この答えだけで、ピンときた方もいると思います。

「神経」は、身体の色々な臓器、器官(内臓)とつながっています。 つまり、「脳」は「神経」とつながり、そして内臓ともつながっています。もちろん、筋肉ともつながっています。

私たちの体を維持するために、「脳」と「身体の各器官」は「神経」を介して色々な情報を常にやり取りをしており、密に会話をしています。

では、「脳の異常」が生じると、「身体の器官」にどのような影響が出るのでしょうか?

「脳」は「神経」を介して、「身体の器官」とつながっています。

その中でも、心臓・肺・胃・腸は、「脳」と“自律神経”を介して直接つながっています。 直接つながっているこれらの臓器は、「脳の異常」の影響を直に受けてしまいます。

皆さんは、緊張した時に“ドキドキ”と動悸を感じたことはありませんか? 悩み過ぎたときに食欲がなくなる吐き気がする胸やけがするなどの症状を経験したことはないでしょうか?

これらは、“ストレス”によって生じた、“身体の症状”です。

心療内科では、このような症状を診ています。

実をいうと、筋肉の中にも「脳」と直接つながっているものがあります。僧帽筋・胸鎖乳突筋は「脳神経」という神経を介して「脳」と直接つながっています。「ストレス」があると、肩こり・首こりが生じやすいのは、「脳の異常」が「神経」を介して直に僧帽筋・胸鎖乳突筋に波及しやすいから?と考えていますが、科学的には証明されていないので、あくまでもこれは私見です。

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉