心療内科ってなぁに? 第5回 “ストレス”ってなぁに?②

“ストレス”ってなぁに?②

“ストレス”とは、「ストレッサー(ストレス刺激)」+「ストレス反応(生体反応)」

皆さんが“ストレス”という言葉を聞いたときにイメージするのは、「怒鳴られた」「ペットが息を引き取った」「職場に嫌な上司がいる」「難しい試験がある」などの “精神面への強い刺激”= “心理的なストレス” だと思います。

“心理的ストレス” “ストレス刺激”は、目や耳などで知覚され中に入り、神経を通って脳に伝わります。これらの情報は過去の体験や記憶と比較されて、刺激の程度によってさまざまな “ストレス反応 = ストレス刺激” に対する反応が生じます。

その中でも“これは強い刺激だ”と認識されると、“ストレス反応 = ストレス刺激に対する反応” も強く生じて、ドキドキする・冷や汗をかく・涙が出るなどの症状も、強いものとなります。

ストレス反応 = ストレス刺激に対する反応にはいろいろなものがあります。

  • 行動停止(すくみ反応)など行動に関するもの
  • 心拍数の増加、血圧上昇など循環器系に関するもの
  • 呼吸が早くなったり、息が苦しくなったりする呼吸器系に関するもの
  • 生理周期がみだれたりするなどホルモンに関するもの など
強いストレスと症状

ストレスが強い時には、体の反応も強くなります。

では、ストレスが「強すぎる」「多すぎる」と、どのような反応が生じ、どのような症状がでるでしょうか?

“ストレス”=“強い刺激”の情報は、神経を通って「脳」に伝わります。そして、その情報は「脳」で処理されています。コンピューターと似ていますね。

電線や光ケーブルを通って送られてきた情報は、コンピューターに伝わり処理されます。電波を介して入ってくる情報では、電線やケーブルはいりません。目や耳で情報を受け取っている人間や動物に似ている?ともいえるでしょうか。

それでは、コンピューターやスマートフォン(スマホ)の場合は、どうなるでしょう?

最近のスマホは昔のコンピューターよりも高い機能を持っています。

理解しやすい身近な物と比較しながら、例えば「脳」を「スマホ」に置き換えて、“ストレス”が「強すぎる」「多すぎる」とどうなるか一緒に考えてみましょう。

“情報”が「多すぎる」とスマホはどうなりますか?

例えば・・・

  • アプリを多くダウンロードしすぎたとき
  • 検索しようといっぺんに色々なページを開いたとき
  • いつの間にかアップロードがおこなわれているとき

この時スマホはどうなっていますか?いつもと同じように、サクサク動きますか?

スマホの動きが遅くなりますよね。

画面上で、クルクル回るイラストが出てきて、ずっと待たされる。
待ってもなかなか機能が戻らず、イライラする。
時には、電源を切って再び立ち上げる。

  • このスマホ、重たくなった
  • 画面が固まって止まった
  • いきなりプツンと画面が消えてしまった
このような経験をしたことはありませんか?

“情報”が「多すぎる」と、スマホは機能が遅くなったり、機能が止まってしまいます。

「脳」も同じです。

“情報”が「多すぎる」「強すぎる」と脳の機能が遅くなります。
もっと「多くなる」「強くなる」と機能が止まってしまいます。

「脳」はスマホやコンピューターに似ています。

“強い刺激”や“多い情報”が入ってくると、色々な症状がでてきます。脳の働きが遅くなる思考できなくなる(フリーズする)などの「脳」の症状だけではなく、死ぬと感じるほどの動悸びっしょりと全身で冷や汗をかく息が苦しい涙が止まらないなどの「身体」の症状も出てきます。

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉