心療内科ってなぁに? 第15回 “咳症状”と“ストレス”との関係④

“咳症状”と“ストレス”との関係④

“咳”と“ストレス”との関係、分かってきましたか?
分かりやすい、読みやすいように書いていきたいのですが、いざ書いてみると難しくなってしまいますね。

今回と次回は“咳”に関連する話で、書き残しているものを紹介したいと思います。(個人的な感想も多く含まれています。)

心因性咳嗽

診療していると、時々“心因性咳嗽”という言葉を聞きます。
例えば、「私の“咳”は心因性と言われました」「通院先の病院で“心因性咳嗽”と言われました」「私の“咳”は心因性なのですか?」と、話される方がいます。

この“心因性咳嗽”という言葉、難しい言葉だと感じています。“心因性咳嗽”、直接的に訳すと「心の問題が原因で発症する咳」になります。心って何?この話題だけでも難しいのに、心因性・・・難しい言葉だなぁ~。

多分皆さんは、心理・社会的なストレスが原因で生じる“咳”を“心因性咳嗽”と考えていると思います。“ストレス”が原因で生じる・悪化する“咳”であるなら、「脳」や「神経」の問題で生じている“咳”になるので、心因性と名付けるのは違和感があるなぁ~、と屁理屈をこねたくなってきます。皆さんはいかがでしょうか?せめて、“ストレスが原因の咳”と言って欲しいな、と感じています。

けれども、“ストレスが原因の咳”とは言いにくい・・・。カルテには“ストレス性過敏性咳嗽”と書くことがありますが、病名として広く認知されている名前ではありません。やっぱり“心因性咳嗽”という表現になるのかな?

緊張と咳払い

その他の“咳”の話題として、皆さんは“緊張”したときに“咳払い”をしたことはありませんか?
緊張しやすい状況、ストレス状況では“咳症状”が出やすいようです。やっぱり“緊張”と“咳”は関係があると感じています。

“緊張”タイプの人は、きつい視線を感じたりきびしい質問が飛んでくると、“緊張”がさらに強くなり“咳払い”が増えてしまいます。 私もこのタイプなので、人前に立つとドキドキしていろいろ考えてしまい、“緊張”して“咳払い”をすることがあります。

人前で話をするときによく“咳払い”をする方は、もしかしたら“緊張”しやすいのかも、と振り返ってみて下さい。 人前に立った時に、「脳」と「身体」のリラクゼーションを行ってみて下さい。そうすると“緊張”が少しほどけて“咳払い”が少なくなると思います。(リラクゼーション方法については、後日紹介しようと思っています)

“咳払い”をしながら話をする人がいたら、“緊張”しているのかなと温かい目で見守ってくださいね。よろしくお願いします。

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉