心療内科ってなぁに? 第37回 脳のリハビリ

脳のリハビリ

当院での活動について説明してきましたが、今年の目標である「脳のリハビリ」について書きたいと思います。

「脳のリハビリ」とは、科学的な言葉ではありませんが、患者さんに説明しやすいのでこの言葉を作りました。ストレス関連の病気は「脳の使い過ぎ」によって生じますが、この病気(病態)や治療について患者さんは理解しにくい様です。沢山言葉を使って説明しても、データなど目に見える情報が少ない(ない)ためか、わかりにくい様です。このような時は、「脳」の問題を「身体」の問題と比べながら説明するようにしています。「脳」ではわかり難い話も「身体」の例を用いるとわかり易い様です。

「脳のリハビリ」はどうして必要?
  • ストレスの病気になると、脳の機能が低下してしまいます。
  • 身体の機能を取り戻すときに、身体のリハビリが必要であることと同じように、脳の機能を取り戻すときにも、脳のリハビリが必要となります。
  • 脳は身体のリハビリと同じように、「休むこと+動かすこと」「少しずつ継続していくこと」で改善していきます。
  • 脳のリハビリは身体のリハビリと同じように、痛み(頭痛、肩こり)や気分不良、倦怠感などの症状を伴います。出てくる色々な症状(脳と身体の訴え)と対話しながら、リハビリ「休むこと+動かすこと」を行っていきます。
  • 治っていく過程で、良かったり、悪かったりの波が出てきます。

ダメージを受けた「脳」の改善=治療には、“お薬”と「脳のリハビリ」が必要になります。

「脳のリハビリ」と治療の流れ

「脳のリハビリ」でどうやったら症状が改善するのか?どうやったらお薬が減っていくのか?と、このリハビリプログラムを組むことに長年四苦八苦していましたが、最近大まかな流れができました。「自然と健康 学びの場」もこの中に組み込んでいます。

まず、“お薬”を使って治療を開始し、次に「脳のリハビリ」プログラムで“ブレーキ技術”や“レジリエンス(弾力性)”を向上させていきます。その結果として“お薬=補助ブレーキ”が減っていきます。 この流れを整えていくことが今年の目標になります(当院は職場復帰へのプログラムをもっていないので、必要な方にはプログラムを持っている病院やクリニックを紹介しています)。

呼吸器心身症“機能的異常が原因で生じた呼吸器症状への対応”も引き続き行っていきます。

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉