心療内科ってなぁに? 第98回 心と体の関係⑫ 健康をつくる

第98回 心と体の関係⑫ 健康をつくる

心は“体の運転手”。第3週は“体の扱い方” “運転技術”について書いています。心の成長(英語ではCoro Heartの成長)= 運転技術の習得、についての話です。

 

さて、今日は“健康をつくる”ということについての話です。この話も「車」と比べてみるとわかり易くなります。「車」を正常(異常なく)に、維持するには何をしたらよいでしょうか?事故なく安全に「車」を運転するにはどうしたらよいでしょうか?これらの答えは、すべて“健康をつくる”ということへのヒントになります。考えてみてください。

 

「脳」は車で例えると、「エンジン」や制御している「コンピューター」になります。心療内科の病気(症状)は、車に例えると「エンジン」や「コンピューター」の不調によって生じている色々な症状という事になります。「エンジン」の調子が悪いときに起きる症状の代表的なものがオーバーヒートです。“熱が出る” “嫌な音が出る” “煙がでる” “エンジンが動かなくなる(車体も動かなくなる)”などが主な症状です。「コンピュータ」の調子が悪い時も、“熱が出る” “画面がフリーズしてしまう” “シャットダウンできなくなる”などの症状がでます。人でもこれらに似た症状が生じます。「考え過ぎた」時に“頭から煙が出そうだ”と感じたことはありませんか?“頭が重い” “考えようとしても脳が働かない“頭に熱がこもってタオルで冷やすと気持ちが良かった”、などの経験はありませんか?これらの症状は“頭痛” “めまい”などのやや強い症状の前に、すでに出現しています。

 

「脳」だけではなく「身体」の症状にも当てはまります。「身体」は車で例えると、「車体」になります。「車体」にはタイヤ≒手足や、電気ケーブル≒神経があります。「車体」を動かすにはガソリンというエネルギーが必要です。手足を使い過ぎると、痛みを感じます。タイヤが摩耗するのと同じように、手足の筋肉も摩耗していきます。電気ケーブルが切れると「車体」の色々な機能が止まってしまいます。神経が切れた場合も「身体」は動かなくなります。「車」には「車」に適した燃料が必要です。入れすぎても足りなくてもよくありません。「身体」には「身体」に適した燃料が必要です。食べ過ぎても食べなさ過ぎてもよくありません。

 

皆さんはこれまでどのような症状を経験したことがありますか?振り返ってみると、ここには記載していない症状も発見できるかもしれません。どうして生じるか、その原因も推測できるかもしれません。

“健康をつくる”ポイントは、“メインテナンス”と“使い方を知る”事です。メインテナンスできるようになって、運転技術が上達すると、「体」を正常に、安全に使う事ができるようになります。上手に使えるようになると、症状(故障)は出にくくなっていきます。

 

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉