心療内科ってなぁに? 141回 症状ってなぁに?9 「原因」と「体の反応」

“心”は“体の運転手”。 メンテナンス技術と運転技術(ドライビング技術)、これらの技術を身に着けていくことが、「心Coro Heartの成長=行動の成長」につながります。“体(脳+身体)の使い方=運転技術”を習得し、健康を作っていくことができるようになると、症状が出にくくなりお薬が減っていきます。

 

 “症状ってなぁに?”というテーマで、ブログを書いています。これまで、「ホメオスターシス」「ストレス(刺激)」「サイン(体からの信号)」について説明してきましたが、皆さんの“症状”に対する理解は深まりましたか?自身の答えを見つけることができましたか?「ホメオスターシス」は馴染みのない言葉で“難しい”と思われたかもしれません。また、皆さんが日常で使っている「ストレス」という言葉は、“あいまい”な状態で使われていることが理解できたと思います。「ストレス」という言葉は、色々な意味を含んだまま日常の状況に合わせて“あいまい”な状態で使われています。

 

今回は、「ホメオスターシス」「ストレス」「サイン(体からの信号)」、これらの言葉をわかりやすいように整理したいと思います。

 

「ホメオスターシス」とは「生体恒常性(一定の状態を保つ)」という意味です。 私たちがこの体を(自身の目的に沿って)使いたいときに使えるように、体(脳と身体)の機能が正常に動くことができるように、体(脳+身体)には、最適な状態(健康的な状態が維持できるようなシステムが備わっています。体内環境が最適な状態(健康的な状態)になるように、温度調節、ホルモン調節、免疫調節、調節遺伝子発現、行動調節など、多くの機能が自動的に調整されています。人の体はとても精密にできています。

 

日常で使われている「ストレス」という言葉には、色々な意味が含まれています。ハンス・セリエ博士は、強い刺激に対する「体の非特異的な反応」を「ストレス反応」と呼び、「原因」と「体の反応」とを区別したかったのですが、「ストレス」という言葉は両方の意味を含んだ言葉として広まってしまいました。加えて、「ストレス」という言葉は、心理的な問題があるときによく使われるようになりました。心理的な問題があるときに、“今日ストレスがあった(原因)” “すごいストレスの中にいて朝起きたらだるい、ムカムカします(原因+身体の反応)”など、「原因」と「体の反応」がごちゃごちゃになって使われています。もちろん日常の会話の中ではこれでよいと思います。治療に関わる際には、表現を正確に用いたほうがよいと思います。セリエ博士は「原因」を「ストレッサー」と名付け、「ストレス」=「体の反応」と区別しました。このブログでは「原因」を「ストレス(刺激)」、体の反応を「ストレス(反応)」と記載しています。

 

通常、「ストレス」は“心理社会的な問題”で“悪いもの”と認識されていますが、私たちの外部環境にあるありとあらゆる刺激、「人間関係などの心理社会的刺激」「温度や圧力といった生理・機械的刺激」「細菌やウイルスといった生物学的刺激」は、すべて「ストレス(刺激)」になります。そして、「ストレス(刺激)」には“良い” “悪い”はありません。「ストレス(刺激)」は、多すぎる、大きすぎると、体に症状を生じますが、一方で、「体(脳と身体)の機能の成長」には、「ストレス(刺激)」が必要であることも忘れてはいけません。「行動の成長」にも、「ストレス(刺激)」が必要になってきます。

 

「サイン」は、体からの信号です。“お腹がすいた” “お腹がいっぱい” “眠たい” “疲れた”など、私たちは、日常生活の中で色々なサインを感じています。“症状”とは、「体からの危険信号」で、“痛い” “息切れがする” “動悸がする” “吐き気がする”などがあります。

 

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉