心療内科ってなぁに? 第17回 少しだけ葛根湯の話

少しだけ葛根湯の話

難しい内容が続いたので、少しブレイクしましょう。

「ひと休みトーク」という感じで読んでください。

心療内科と漢方薬

心療内科では、人を「全体としてみよう」、社会・心理・生物学的な視点でみて病気や病態を理解しよう、このように訓練を受けます。 色々な視点で診ることが好きなのか、ちょっと特異な視点で診ることが好きなのか、心療内科の先生方は、漢方薬、東洋医学にも興味をもたれる方が多くいます。

私もその一人で、漢方薬についても勉強してきました。

といっても、現在は「呼吸器心身症」や「呼吸器・アレルギー疾患」の治療を行っているので、「西洋医学の治療を中心に漢方薬をサポートとして使う」 という考えで診療しています。専門的な加療を希望される方は、漢方薬専門病院を紹介しています。

もちろん、漢方薬にも副作用があるので、漢方薬としての(東洋医学としての)理論をきちんと学んで治療に活用しています(漢方専門医を取得しています)。

漢方薬(東洋医学)に関しては学生のころから興味があり、色々な先生の所にいって勉強しました。昔はすごく癖のある先生がいたな・・・などと思い出されます。 「この“生薬”はどのような効果がある?」「教科書に書いてある反応と同じ?」などと疑問を持った時には、実際に漢方薬を飲んで効果を確認したこともありました。 特に風邪をひいたときなどは「チャンス!」と嬉々として内服していたことを覚えています。おかしいですか?漢方薬が好きな先生方にとってはけっこう“あるある”な話だと思っています。 時には、指導してもらっている先生の意見とは違う漢方薬が気になってしまい、身をもって失敗を体験したこともあります。

葛根湯の話

漢方薬“生薬”には、今皆さんが食べている食材も多くあるので、漢方薬を勉強すると、毎日食べている食事はどのような作用があるのか?などと勉強になり、とても興味深いです。薬膳料理、医食同源という言葉にもつながっていきます。

皆さんの食卓の周りには色々な“生薬”があります。

“生薬”とは、漢方薬の中に入っている色々な薬用植物・鉱物の中の一つのことを意味します。

ちなみに皆さんが知っている「葛根湯」という漢方薬には7つの“生薬”が入っています。

葛根(カッコン)・麻黄(マオウ)・桂皮(ケイヒ)・芍薬(シャクヤク)・甘草(カンゾウ)・大棗(タイソウ)・生姜(ショウキョウ)の7つです。それぞれの“生薬”に効能があってその集合体が「葛根湯」になります。

これらの生薬を見て気が付きましたか?なじみのある文字がありますね。

葛根(カッコン)は葛(クズ)の根です。桂皮(ケイヒ)はシナモン、大棗(タイソウ)は棗、生姜(ショウキョウ)はその名の通り生姜です。皆さん食べたことのある食材ですよね。

そのほか、紫蘇、納豆、山芋、もち米、麦の飴、梅干し、なども“生薬”として用いられています。

葛根湯の話、いかがでしたか?

漢方薬に興味がでてきましたか?

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉