心療内科ってなぁに? 第30回 治療に関するお話⑦ “インターネット検索”

治療に関するお話⑦ “インターネット検索”

答えや原因を求め過ぎない

ストレス関連の病気になる方はインターネットで情報を調べることが大好きなようです。これも「考えることが好きな人」の特徴になります。

“答えがすぐに出る疑問”は文字通りすぐ“答え”がでるので、多く「考える」必要はありません。結果として「考えることが好きな人」の頭の中には“答えが出ない疑問”ばかりが残り、増えていきます。そして、その“疑問”を解明しようとインターネットで繰り返し検索するようになります。こだわりが強い人ほど多く検索してしまいます。

インターネットには一般的な“答え”は記載されていますが、その人の現状に沿った“答え”は載っていません。いつの間にか“答え”や“原因”を求めて「脳」を多く使ってしまう悪循環に陥ってしまいます。インターネットは際限がないので、追いかければ追いかけるほど「考える」ことが増えてしまい、「脳」は疲弊してしまいます。「脳」や「神経」への負担が増えてしまい、精神症状や身体症状は悪化してしまいます。

このような方には「原因を求めないでくださいね」とアドバイスしています。「原因を探すと余計に脳を使ってしまい症状は悪化しますよ」と伝えています。「疑問があれば治療に関わってもらっている現場の人(患者さんのことを実際に診ている、お薬を出してもらっている医師、対応してくれている看護師さんや薬剤師さんなど)に聞いてください」とも話しています。

皆さんを診ている現場の人たちは、勉強して得た知識や経験した中から、今の皆さん現状に沿ったアドバイスを伝えることができます。私たちも100%の答えは持っていませんが、その時々の患者さんの状況に応じてサポートすることができます。

最近の情報源、特にインターネットでは、患者さんが良くなるためといった目的ではなく“いいね”や“検索数”の数を増やしたいことを目的に掲載している情報を多くみます。これらの中には患者さんが不安になるくらい、内容を極端にして記載されている情報もあるので注意しましょう。

体に聴く技術

実をいうと、“病気”になるのか?“症状”がでるのか?という疑問の“答え”は、患者さん自身の「体=脳+身体」に書いてあります。きちんと「休めている?」「どうしたら症状がよくなる?」と、皆さんの「体=脳+身体」に問いかけると答えてくれるのですが・・・。症状があって余裕がない時は難しい様です。“答え”は皆さんの身近、すぐそこにあります。

症状が落ち着いてきた後、治療の中盤頃から「体(脳+身体)に聴く技術」を身に付けてもらうように指導していきます。といっても、脳や身体に「休めている?」「どうしたら症状がよくなる?」と問いかけて下さいね、と伝えているだけです。この技術が上手になり「脳」を休めることができるようになると、お薬の量は減ってきます。

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉