心療内科ってなぁに? 第51回 治療に関するお話 番外編 “自然と健康学びの場⑧“

治療に関するお話 番外編 “自然と健康学びの場⑧“

「だいぶん暖かくなってきました。夏野菜を植えてみたい!」という声があり、トマト、キュウリ、ナスを植えることとなりました。開墾したばかりの土地は微生物が少なく、夏野菜は育ちにくいと感じており、初年度はイモ類やマメ科を中心にと考えていました。しかし、患者さんの“やってみたい”には是非とも応えたい、そして、可能であれば良い物をつくりたい!と考えて、自然農で野菜をつくっている農家さんにボランティアを頼みました。以前から「何かあった時にはよろしくお願いします」と伝えていましたが、改めて頼んだら、「いいですよ」と快く引き受けてくれました。可能な範囲で来て頂き、アドバイスをもらえるようになりました。

実際に見て、経験して覚える

患者さんには、農家さんの手本を真似して行ってもらいました。野菜の苗をひもで支柱に結ぶ作業ひとつとってみても勉強になります。茎を気付付けないように紐をかけ、二回ひねってから支柱にくくり付けます。くくり付ける際にも工夫がありました。一回はゆったり結んで、半分回して二回目にギュッとかた結びを行う、再び半分回して三回目の方結びその後に片方蝶結びを行う。

支柱に結びつけるのには「まっすぐ伸ばしたい」という意味もありますが、「茎が揺れると成長が遅くなるから」との話でした。硬くぎゅっと固定すると茎に紐が食い込んでしまうので、丁度よい感じで結ぶのがポイントです。この丁度よさは文章では書けないので、実際に見て、経験して覚える必要があります。難しい作業ではないのですが手間がかかりますね。なんとなく食べていた夏野菜が貴重なものに見えてきました。あらためて、意味を知る・体験するということの大切さを実感しました。

しんどいときは、力を抜いて

さて、これからどうなるでしょう。農家さんのアドバイスも加わったので、しっかり育ってくれると思いますが、病院で行っていることなので色々な制約があります。「2週に1回しか関われない」という制約がどのような影響を及ぼすか、これから見ていく必要があります。

全く雨が降らないときどうしよう!水やりは行おうかな?収穫はどうしよう?2週に1回では適切に収穫できずキュウリはすぐに大きくなってしまう、トマトも熟れすぎて収穫時期を逃してしまう。できれば毎週おこないたいけど、スタッフの問題がある・・・。まだ苗を植えたばかりなのに悩んでしまいました。私も「考え過ぎる」タイプですね、先の事を考え過ぎて不安がでてきました。このあたりで「考える」ことをストップします!

しんどいときは、力を抜いて、①「ゆっくり」「楽に」「無理しない」、元気になってきたら、②「明るく」「楽しく」「前向きに」、をモットー(方針)に、行う方も治療受ける方も、楽に続けることができる会にしていきたいと思っています。 

少し畑らしくなってきました。

“あんどん”は、ナス(寒さよけ)とキュウリ(ウリバエ防止)にしています。

同じものでも意味が違うそうです、勉強になりますね。

ジャガイモが育ってきました。

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉