心療内科ってなぁに? 第55回 心ってなぁに?

心ってなぁに?

2021年の8月より、週1回のペースでこのブログを書いてきました。早いもので1年になります。
初回のブログに「心療内科」のついての質問を載せました。

  • 福岡病院が対象としている患者さんは?
  • どういう時に受診(入院)したらいいですか?
  • モチベーションのあげ方について
  • ストレス発散の方法について
  • 心療内科と精神科の違いって?
  • どんな病気があるの?
  • いますぐに受診できるの?
  • どんな治療をするの?
  • どんな薬があるの?
  • 薬を飲めば治るの?
  • どんな症状のときに受診できるの?
  • 遺伝するの?
  • 日常生活で注意することは?
  • どのような人が発病するの?

この1年間で、これらの質問に対して少しずつ答えてきたつもりですが、いかがでしょうか?
今回は1周年記念?という事で、“心ってなぁに?” という質問に少しだけ答えていこうと思います。

「心」は「体の運転手」

“心” について説明する際に、「車」と「運転」の例えを用いています。そして「 “心” は “体の運転手” です」と伝えています。“体” に相当するのは「車」、“心”に相当するのは「車の運転手」になります。これまで、「体」=「脳+身体」、これに相当するのが「車」=「エンジン(コンピューター)+車体」と伝えてきました。この説明に「運転手」が加わります。車の例を使うと「脳」と「身体」の関係を説明しやすいだけでなく、“体” と “心” について説明しやすくなります。

「薬」は脳を休める「補助ブレーキ」

心療内科では、“脳” を休めるために、「補助ブレーキ=薬」を使います。薬はあくまでも補助なので、薬だけでは治りません。補助ブレーキの力を借りて “脳” を休めることができると、エネルギーが溜まった分だけ症状は改善していきます。症状が改善した際には「そろそろ薬を止めましょう!」という話になりますが、この時、ただ単に薬を止めるだけでいいの?薬を止めると再発しないの?という疑問がでてきます。皆さんはどのように感じますか?

このブログをしっかり読まれている方は、この疑問に対する答えがすぐに浮かんだかもしれません。薬はあくまでも「補助ブレーキ」です。「補助」以上の働きをしないし「補助」以下の働きもしません。ですから “脳” が休まって「補助ブレーキ」を外す段階に到達していても、もし「運転手」が再び「エンジン(コンピューター)=脳」を無理に使ってしまうと、症状は再発してしまします。心療内科を受診される方は「考える」ことが大好きで “脳” を「使い過ぎ」、その結果、機能異常が生じて症状が出ています。「アクセル」が得意で「ブレーキ」が苦手です。「脳を使う」ことが得意で「脳を休ませる」ことが苦手です。「補助ブレーキ」を外せるようになるには、「運転手」が「ブレーキを踏める技術」を持つ必要があります。

なんとなく、病気(症状)のからくりがわかってきましたか?「薬をはずす」ためには、「運転手」が「ブレーキの技術」を身に付けていくことが大切です。そして、健康になるためには、「体を(健康的)に運転できる技術」を身に付ける、ことが必要となってきます。「故障」しないために、また「安全運転」できるように、「車の運転手」が「メインテナンス技術」や「運転技術」を身に付けていく。Goodな運転手になれると「故障や事故知らず」で“ドライビングを楽しめる”ようになる、ということと同じですね。皆さんもGoodな「体運転手」になって「病気やケガ知らず」で“人生を楽しめる”ようになってくださいね。

皆さんのイメージしている答えと同じでしたか? “心” については色々な意見が出てくると思います。ここでの答えを参考にして、皆さん自身の答えを探してみてくださいね。

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉