心療内科ってなぁに? 第54回 “薬”との付き合い方②

“薬”との付き合い方②

“薬との付き合い方” は “人付き合い” と同じです。“嫌だな”という人や事柄については、その相手(事)を理解して、そして適切な距離・付き合い方を保っていくことが大切です。“嫌だ" “嫌だ”とばかり考えていると、結果としてその相手(事)から離れられないことが多々あります。

一方、“助けになる” “心地よい”と思える人や事柄については、「手助けしてほしい」と伝えてみると良いでしょう。“薬”に対しても、人に話すみたいに「手助けしてね」と伝えると関係性が良くなっていきます。また、“心地よい”状態を経験できたのであれば具体的な表現を用いて「〇〇してくれてありがとう」「〇〇は嬉しかったです」「また助けてくださいね」など、感じたことを相手に伝えてみましょう。意識して行うことができると、関係性はさらに良くなります。

自分と相手のバランスを意識して

ここで大切なのはバランスです。普段“助け“をもらえていない人(“助け“をもらうことが苦手な人)は周りの人に“助け“をお願いすることが大切です。一方、普段から「助けて」と上手に言えている人は、依存し過ぎないように私自身でできることは自ら行っていくことが大切です。私と相手のバランスを意識して、私-半分、相手-半分を目指しましょう。

そうはいっても、“助け“をもらうことが苦手な人は、「ちょっとしたことをお願いする」といった行動でも難しい課題となります。「人に頼むのは苦手ですね」「やっぱり自分でやった方が早いと思ってしまいます」という話を外来でよく聞きます。また、「難しくて私には無理です」とも、患者さんは話されます。どうして、患者さんは“助け“をもらうことを“難しい” “苦手”と感じてしまうのでしょうか?

それは経験不足だからですと伝えています。誰でも“初めての事” “慣れていない事” “苦手な事”を行う時は、難しいと感じます。自転車が苦手な人は、乗ることが難しいと感じます。英会話の経験が少ない人は、英語での会話を難しいと感じます。同じように、“助けてもらう“ “頼むこと“が苦手な人は、これらの事を行うことを“難しい”と感じます。人は行い易いこと、得意なことを多く行います。そして苦手な事を無意識に行わなくなり、そのことを行う機会が自然と少なくなる傾向があります。その結果“苦手” “難しい” “経験が少なくなる”といった、悪循環にはまってしまうことがあります。

“助け“をもらうことも練習すれば上手くなれる

誰でも、得手不得手があります。苦手な事は人より多く練習する必要があるかもしれません。最初は“嫌だな” “難しいな”と感じるかもしれません。もし皆さんが、このように“感じた” “今感じている”としても大丈夫です。少しずつ練習して、経験を積み重ねていくことができれば、一歩一歩、上手になっていきます。“昔は苦手だったことが、今得意になっていた” “苦手な事を沢山練習したら、いつの間にか上手になってその事が好きになっていた” “悩んで練習した分、人に教えることが上手になった”、このような経験はありませんか?“助け“をもらうということも同じです。“助け“をもらう技術も、練習すれば上手に行えることができるようになるので、トライしてみてください。

“助け“をもらう技術が身に付き、“助け“をもらう、自分で行うのバランスがとれるようになってくると、“考える“ことが減り症状が少なくなっていきます。健康になると同時に自信も持てるようになっていきます。

* 前回の問題の答え:

玉ねぎでした。

「花だけではわかりません!」という声が聞こえてきそうです。トウ立ちした玉ねぎを丸ごと土に入れてみたら、きれいな花が咲きました。玉ねぎは梅雨頃に花を咲かせますが、雨にあたると花が悪くなり種が取れなくなります。通常はハウスの中で花を咲かせて種を採取します。

1m近くあるでしょうか、背高のっぽですね。

“俺はもうダメだ!” 少し“やさぐれている”玉ねぎもいます。

ちなみにこの玉ねぎは、外側の柔らかい部分を食べた残りです。トウ立ちして固くなっていた中心の部分だけ植えました。根を生やすエネルギーが足りなかったのか、すぐに倒れてしまいます。自力で立てるように補助をしてあげることにしました。

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉