心療内科ってなぁに? 第71回 心と体の関係③「脳マラソン」になりやすい人

心と体の関係③「脳マラソン」になりやすい人

このような“くせ”はありませんか?

 ・いつも、何かを、考えている

 ・「あれもしないと」と一度に多くのことを考える

 ・時間がもったいない、時間が足りない

 ・いつの間にか早く歩いている

 ・信号で止まるとイライラする

 ・前の車を追い抜いてしまう

 ・いつの間にか家事に追われている

 ・インターネットで色々調べる

 ・まわりからせかされている感じがする

 

当てはまる項目が多い人は、「脳」を使い過ぎているかもしれません。

その特徴は、「脳」→「身体」⇒「行動」にも影響しています。

 

「考えることが好き」は「脳マラソン」につながりやすい

「考えることが好きな人」は「脳」をぐるぐる動かしています。そうすると、色々な事を思いつき、多くのアイデアが浮かびます。考えれば考えるほど、「脳」を動かせば動かした分だけ、多くのアイデアを思いつきます。出てきたアイデアの分だけ“あれもしたい” “これもしたい”と「やりたいこと」も増えていきます。

 

一つの事だけでなく、多くの事を一度に考えることもできます。多くのアイデアが浮かんでくるので、“こうするともっとよくなる?”などの考えもどんどん浮かんできます。アイデアがどんどん増えると、いつの間にか「やりたいこと」で頭の中がいっぱいになっているときがあります。このような状況が続くと、次第に、“時間が足りない” “時間がもったいない”と口に出して言うようになってきます。

 

「脳」を多く動かしていると、周りへのアンテナも伸びてくるようです。例えていうなら通常はスマホで3本電波が立っていると良いところが、5~8本くらい立っている感じです。アンテナが伸びると色々な情報を集めることができます。他の人のちょっとしたしぐさや、お客さんの表情など、少しの変化でも目に入るようになります。調子のよい時には、“良く気づく人” “きめ細やかな人” “いつも先に動いてくれてありがたい人”と褒められることも多い事でしょう。そうすると、もっとやりたくなってきて、周りへのアンテナもいっそう長くなっていきます。周りの人が喜んでくれることは、「考えることが好きな人」にとっての喜びになります。人は喜びがある方向に行動が増えていくので、この特徴が強化されていきます。

 

「考える」ことを「やり過ぎる」とアラート信号が出てくる

病気は「好きの向こう側」にあります。「考えることが好き」の間はいいのですが、「考える」ことを「やり過ぎる」ようになってしまうと、イライラなどの精神症状や、頭痛や倦怠感などの身体症状が出てきます。軽いアラート信号に気づけばよいのですが、「身体運転手」がこのアラート信号に気づかないと、症状は強くなっていきます。

 

皆さんは、上記にあげたような“くせ”はありませんか?このような行動を行っている時は、もしかしたら「脳」を使う事が「過ぎている」かもしれませんね。

 

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉