心療内科ってなぁに? 第73回 病気と健康の話①“うつ病”って何?

病気と健康の話①“うつ病”って何?

外来で、患者さんから“うつ病って何?“うつ病ってどうして生じるの?”と質問を受けることがあります。今回は少し、“うつ病”の話をしたいと思います。

 

私が医師になりたての頃は“うつ病ってなにか気味の悪い病気?” “うつ病になったら周りから変な目で見られてしまう”このような雰囲気がありました。今は“うつ病”に対する一般の人の理解も改善してきているようです。しかし、高血圧や肺炎などの“身体の疾患”と比べると、まだまだすんなり受け入れられていないような気がします。うつ病や不安障害などの「精神」に関する病気の受け入れが進んでいないのは、高血圧や肺炎などの「身体」の病気と違い、これらの病気が目に見えない、検査に出ない(出にくい)病気だからと感じています。

 

“うつ病”の主な症状は(診断基準によると)、1)抑うつ気分 2)興味や喜びの減退 3)食欲の減退(又は増加)4)不眠(過眠) 5)精神運動の焦燥感または停止 6)疲労感や気力の減退 7)無価値感や過剰な罪責感 8)思考力や集中力の減退,決断困難 9)嫌な事についての反復思考、となります。色々な症状がありますね。この中で5つ当てはまると“うつ病”の診断になります。

 

どうしてこれらの症状が生じるのでしょうか?“ストレス関連の病気”についておさらいしてみましょう。

 

“ストレスとは、「ストレッサー(ストレス刺激)」+「ストレス反応(生体反応)」。

 

“心理的ストレス” “ストレス刺激”は、目や耳などで知覚され中に入り、神経を通って脳に伝わります。これらの情報は過去の体験や記憶と比較されて、刺激の程度によってさまざまな“ストレス反応=ストレス刺激に対する反応”が生じます。この反応が過剰になったり、逆に反応できなくなった時に、“異常な反応”=“症状”として私たちは自覚します。“ストレス”が強すぎたり、長く続いたりすると、「脳の異常」が生じて“精神の症状”と“身体の症状”を引き起こします。精神科では“精神の症状”=「脳」が主に関係する症状を主に診ています。心療内科では“身体の症状”=「自律神経」が関係する機能的な身体症状を主に診ています。

 

医学的な用語が増えると難しく感じますね。

先にあげたうつ病(症状)の症状については、“ストレスと「脳」の関係”やこれまでブログで紹介してきた「脳の使い過ぎ」「脳のマラソン」を意識しながら考えていくと、少しずつ理解できるようになってきます。皆さん自身で考えて(可能であれば)皆さん自身の答えを出していくことが、うつ病の予防(「脳」の使い方についての勉強)になります。早く答えが欲しい!と思うかもしれませんが、“うつ病って何?“うつ病ってどうして生じるの?”について答えを探してみて下さいね。

 

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉