心療内科ってなぁに? 第75回 自然と健康学びの場⑭

自然と健康学びの場⑭

 種から芽を出して苗にする方法は色々あります。種を畑に直接まくやり方(自然農では種をおろすという言葉を使っています)、苗をつくるために種を密集させてまくやり方(苗床)、ポットに種をまいて発芽させて大きくしてから畑に移植するやり方、などです。自然農では科学肥料や農薬を使わないので、直接畑にまくやり方では、種やでてきた芽を虫や鳥に食べられるリスクが出てきます。ポットで苗をつくるやり方は食べられるリスクが減りますが道具や土を買ったりしてコストが増えます。また、土の下に実がなる大根や人参などはポットで苗をつくるには不向きです。

 

 今年から秋冬野菜を始めるので、まだまだ畑の特徴がわかりません。色々なやり方を試してみることにしました。今回は、直接畑に種をおろす方法、苗床をつくる方法を行いました。しかし・・・、どちらの方法もすべての苗が食べられてしまいました。発芽したことは確認したのですが、次の日に行くと全部食べられていました。もしかすると、苗床は虫たちにとっての“サラダバー”になっている?私たちが食べて美味しい物は、虫たちにとっても美味しい様です。もう少し寒くなると、虫たちの活動もおとなしくなるので、食べられるよりも発芽のスピードが速くなります。そうすると直接種をおろすやり方や苗床のやり方でもリスクは減って苗になってくれるのですが、この時期は厳しい様です。できれば、12月中に秋冬野菜を食べたい、そのためには今この時期に種をおろしたいのですが・・・どうしよう。

 

 この様に、自然農では色々な事がおきるので、それぞれの畑や季節に寄り添いながら対応していきます。同じ畑でも年が変われば天候も変わるので、違う対応を選択することがあります。これが難しい所であり、また、楽しい所です。特に、野菜たちが小さい時は、頻回に見に行ったり多く手をかけてあげます。小さい頃は多く手をかけてあげる、成長するにつれて手を入れないようにし、周りの環境に合わせて独り立ちを目指していく。自然農は色々な場面で、子育てに通じることがあるなと感じます。大きくなった時に手を入れすぎると、成長がストップしたり枯れたりすることもあります。野菜の種類によって個性があり、それぞれで手助けのタイミング、頻度や方法が変わってきます。

 さて、このサラダバー状態の苗床、どうしよう?12月までに秋冬野菜を収穫することができるかな?先生にきいてみよう!

サラダバー状態の苗床です。よくよく見ると、チンゲン菜の所に芽が残っていますが、こちらも食べられてしまいました。

 

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉