心療内科ってなぁに? 第83回 心と体の関係⑦“クラッチ技術”を習得しよう!

心と体の関係⑦“クラッチ技術”を習得しよう!

 心は“体の運転手”。第3週は“体の扱い方” “運転技術”について書いています。心の成長(英語ではCoro Heartの成長)= 運転技術の習得、についての話です。今回は、どのようにして“クラッチ技術”を習得するか?上達できるか?という練習法をお伝えします。練習法を伝える前に、技術を習得するという「行動」について少し話したいと思います。

 

 どんな技術でも、身に付ける時に最初に行う大切なことは、その技術に「興味をもつ」ことです。例えば、自転車に乗れるようになるには、自転車に興味をもって“乗りたい!”と思うことがスタートになります。また、料理の技術が上手になるには、“料理を作れるようになりたい” “美味しいものをつくって食べたい”と思うことがスタートになります。普段はなんとなく通過してしまい、あまり意識していないこのスタート地点、とても大切なポイントなので意識してみて下さい。もし、「興味がない」「興味が少ない」状態だったらどのようになるでしょうか?“モチベーションがない(少ない)”ので、少しの困難であきらめてしまい練習は長続きしません。結果として技術は身に付かないですし、上達もできません。では、どのようにしたら“興味を持てるようになるか?” “やる気を増やすにはどうすればいいか?”という話になるのですが、難しくなるので話は後日にしますね。

 

 さて、「脳の健康」のためには“クラッチ技術”が必要!です。“健康”に興味を持たれている方や、“健康になりたい!”と思っている人にとって大切な技術なので、是非ともトライしてみて下さい。大切なポイントが2つあります。1つ目は、“健康”に“興味があるかないか”確認してみること。これはスタート地点の確認ですね、“健康に興味がある”といった方はチャレンジしてみて下さい。2つ目は、ただ単に“行って”小さな経験を積んで下さい。“どうして必要?” “クラッチとは何”など「考える」ことはあまり行わないでくださいね。技術の習得で大切な事は、経験することです。最初は“健康になりたい!”という興味(モチベーション)で、小さな経験を多く積んでいって下さい。

 

  “クラッチ技術”が、上達するための具体的な方法は、“あえてゆっくり動く” “身体をゆっくり使う”です。

 

 例1)あえてゆっくり歩いてみる。“ゆっくり”歩く技術が上手になると、“クラッチ技術”も上達していきます。例2)右手をゆっくり上にあげてみる → ゆっくりおろす、左手をゆっくり上げてみる → ゆっくりおろす。“ゆっくり” “美しく”手の上げ下げができるようになると、“クラッチ技術”も上達していきます。“歩く=足を動かす” “手を上げる=手を動かす”いずれでも、足先や指先を意識しながら行うと良い練習になります。

 

  “え~、そんなこと” “どうしてそんなことでクラッチ技術が上達するの?”、など色々疑問が出てくるかもしれませんが、先ずは行って経験を積んでみましょう。“ゆっくり”を意識すると「脳」と「身体」がどうなるか?を感じながら行うと効果的です。ちなみに、マニュアル車では坂道発進や下り坂でのエンジンブレーキをかける時に、クラッチの存在がよくわかります。

 

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉