心療内科ってなぁに? 第91回 病気と健康の話⑦ “不安”を減らすにはどうしたら良い?

第91回 病気と健康の話⑦“不安”を減らすにはどうしたら良い?

「不安を減らす」にはどうしたら良い?「不安が増える悪循環」について理解できた人は、答えを出せたのではないでしょうか?「不安が増える」と逆のことを行うと、「不安を減らす」ことができます。

 

“不安(症状)”は「不確かなこと」に対応しようとするときに生じる感覚で、「考える」という行為が多くなればなるほど“不安”は増えていきます。この逆は、「考える」という行為が少なくなればなるほど“不安”は減っていく、ということになります。「不安を減らす」ためには、“不安”そのものを減らそうと努力するのではなく、「考える」という行為を減らすことが大切なポイントです。

 

“どうしたら不安は減りますか?”と質問される患者さんに、“考えるという行為を減らすと不安は減りますよ”、と答えていますが、言うは易く、行うのは難しいようです。「考えることを減らす」という表現よりも、より具体的な表現を使うと治療効果がある様で、最近は「以下の技術を増やしては?」と話しています。

 

「ニコッと笑って断ることができる技術」

「相談することができる技術」

「何か頼みごとをしてみる技術」

「体全身を使って行動する技術」

「3回同じことを考えたらやめる技術」

「3日以上先の事は考えない技術」

「自然の環境に出ていく技術」

「ゆっくりと動く技術」


「ぼーっとする技術」

 

これらは「不安を減らす」ために有効な技術になります。「考える」という行為そのものを減らすことは難しいようですが、より細かく具体的な行動を示してアドバイスしていくと、患者さんもできているようです。これらの技術は、「考える機会を増やさない」技術ともいえます。

 

技術が身に付いていくと「不安症状」も減っていきます。「不安」を感じるという方は、ぜひ行ってみて下さい。

 

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉