心療内科ってなぁに? 第102回 自然と健康学びの場㉓

心療内科ってなぁに? 第102回 自然と健康学びの場㉓

 夏が近づき気温が上がるにつけ、草の勢いが増しています。雨が降るとその後に草が“ブハッ”と増えます。まだ蚊は少ししか出ていませんが、今後増えていくことでしょう。自然の中にいると、日々の天気や草木の変化など、色々な変化(移り変わり)を感じることができます。そして、自らの体の内もよく観察すると、季節に応じて、体調も変化していくことに気が付きます(漢方薬を使用する際は季節によって薬剤を調整することがあります)。自然の中に出ていくと、風を感じたり収穫を得たりと楽しい事も多いですが、汗をかいて痒くなったり嫌な虫と出会ったりという嫌な体験もします。実をいうと“健康”にはこれらの経験がとても大切です。色々な経験をすることで、体内の感覚的・感情的な機能が深まっていきます。感覚や感情(感じる力)を深め、意欲(やりたいという気持ち)を成長させるには、全身を使った自然の中でのリアルな体験、“うれしいと感じる経験”と“嫌と感じる経験”両方とも必要になります。

 

 支柱を立てた所にはトマトときゅうり、その奥にはナスが植えてあります。昨年はナスとキュウリの調子が良かったのですが、今年はトマトの調子が良い様です。自然農では肥料や水を与えずに育てているので、その成長は環境要因に影響されやすくなり、毎年同じように育てていても、年ごとで成長が違ってきます。慣行農法、有機農法、自然農と色々な方法の野菜の育て方がありますが、それぞれ得意な所、苦手な所、メリット、ディメリットがあります。自然農では雨の降り方や日の照り方など環境要因に収穫が影響されるため、大量生産や安定供給を行うことは苦手ですが、個性のある深い味を楽しむことができます。肥料や農薬を用いると、安定した野菜の収穫が見込まれるようになる一方で、味を変化させ人体への影響も考える必要が出てきます。お腹を空かせている時は安定した供給が必要です。味に関しては好みがあると思います。よく、良い悪いという議論を行いがちですが、良い悪いは必要性に応じて、個人個人で判断したらよいと思います。大切なことは、いずれのやり方も経験してみること、経験してそれぞれの得意な所、苦手な所を知って自分自身がどうしたいか、何を求めているか考えてみましょう。医学でも西洋医学、東洋医学、心の医学(行動を含めた医学)など、視点を変えれば色々な医学があります。農業のやり方についての話は、医学の話にもつながり興味深いです。

 

 トマトを中心とした写真を載せます。美味しそうですね。キュウリやナスもたくさん採れたらいいですね。

 草刈りをしてから2週間です。すぐに地面が草で覆われてしまいます。

 トマトが赤く色づき始めています。少しピンクの時に採って追熟させるのも良いですし、もっと熟してから採っても良いでしょう。食べ比べができるのは作っている人の特権です。

 緑色のトマトがみえますか?5段、6段まで行きそうです。

 トマトの採り方を習っています。親指で支えてクイッと採れば良いそうです。

 収穫の一部です。じゃがいもは味がのっていなかった(涙)。

じゃがいもに味をのらすには肥料もしくはたっぷりの草がいるかも(研究中です)。

 

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉