心療内科ってなぁに? 第127回 症状ってなぁに?(2) 最適な状態

<心療内科ってなぁに? 第127回 症状ってなぁに?(2) 最適な状態>

 

“心”は“体の運転手”。 メンテナンス技術と運転技術(ドライビング技術)、これらの技術を身に着けていくことが、「心Coro Heartの成長=行動の成長」につながります。体(脳+身体)の使い方=運転技術を習得し健康を作っていくことができるようになると、症状が出にくくなりお薬が減っていきます。

 

 

私たちが感じる“症状”は、体(脳や身体)からの危険信号(アラートサイン)です。“症状”が出ているときは、体に何らかの不調があり、“これ以上使うとさらに調子が悪くなります”“これ以上使うと壊れます”という時です。私たちがこの危険信号、体からのメッセージを受け取って適切に対応することができれば、危険信号はなくなります。

 “症状=危険信号”がなく、健康的に過ごすためには、体の運転手である私たちが、体を“調子のいい状態”“症状の少ない状態”に管理する必要があります。

 

体の“調子のいい状態”は、医学的に“最適な状態”と呼ばれています。この状態である時、私たちは“健康”“症状がない(少ない)”と感じます。“最適な状態”と聞くと難しいと思われるかもしれませんが、スマートフォンでも“最適化”という言葉が聞かれます。スマートフォンに例えて言うと、最適な状態”とは“最もサクサク動く状態”です。スマートフォンが「充電されている」「機能が正常に動いている」「容量に空きがある」「外部からのウイルス攻撃を守るためのプログラム」も入っているといった状態になります。

 

体(道具)の維持”について“最適な状態(最もサクサク動く状態)”というキーワードを加えて、詳しく述べてみましょう。

 

スマートフォンがスムーズに動かない時は、どういったときでしょうか?アプリが多すぎる時、写真を取り込みすぎた時、動画が重たい時、電池がない時などです。スマホを最適な状態(最もサクサク動く状態)”にするためには、アプリや写真を捨てて容量を空ける必要があります。電池が足りなくなったら、充電する必要があります。

 

車がスムーズに動かない時は、どういったときでしょうか?タイヤがすり減っている時、ガソリンが足りない時、バッテリーが古くなっている時、ベルトがすり減っている時などです。車を最適な状態(最もサクサク動く状態)”にするためには、タイヤやオイルを変える必要があります。ガソリンが足りない時はガソリンを入れる必要があります。バッテリーを取り替え、エンジンもチェックする必要があります。

 

体(脳や身体)がスムーズに動かない時は、どういったときでしょうか?脳に疲れがたまっている状態でさらに考えようとしたら頭が痛くなった時、身体に疲れがたまっている状態でさらに動こうとしたら腰や足が痛くなった時や、お腹が痛いとき、動悸がする時、息切れする時などです。室内でリラクッスする人のイラスト(男性)体を最適な状態(最もサクサク動く状態)”にするためには、脳や身体を休めるために休養をとる必要があります。また、バランスの取れた食事を加減してとり、体の調子を整えて、体重を適正に保つ必要もあります。

 

人の体には、体内の環境を“最適な状態”に保つ機能が備わっています。1929 年にウォルター・B・キャノン博士が、生物の定常状態に関連する生理学的反応やシステムについて説明し、「ホメオスターシス(生体恒常性)」という言葉を定義しました。

 

皆さんの体温、血圧、体内の電解質や栄養素、酸素量などの多くの要素は、“最適な状態”で保たれています。私たちの体はとても精密にできています。体の内外からの強い刺激があった時でも、各要素のバランスが崩れないように自動的に調整され、体内の環境が大きな変化なく維持できるシステムが備わっています。私たちの体の中にこのような素晴らしい機能があることを知っていましたか?

 

人の体内に素晴らしい“自動修復機能”があるといっても、無理して使いすぎると“危険信号”である“症状”が出現します。この信号を重視しないで、さらに無理して脳や身体を酷使すると、“症状”はより強いものになっていくので注意しましょう。

 

“健康”を維持するためには、日ごろから体(脳や身体)をメンテナンス(手入れ)することが大切です。道具である私たちの体(脳+身体)を酷使せず、休養をとり大切に扱うと、体(脳と身体)は“最適な状態”を保つことができ、私たちは“症状”を感じることなく日常を過ごすことができます。“症状”を感じない体の状態を、私たちは“健康”と呼んでいます。

 

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉