2021年2月度 今月の特集「アレルギー週間」

はじめに

日本では2人に1人が何らかのアレルギー疾患をもっているとされており、いまやアレルギーは国民病となっています。アレルギー疾患はアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、そして花粉症など、症状も多彩です。

これらアレルギー疾患の原因物質「IgE(免疫グロブリンE)」を発見したのが、石坂公成先生・石坂照子先生ご夫妻です。1966年2月20日に米国のアレルギー学会で発表されました。

この功績をたたえ、1995年日本アレルギー協会は、その2月20日を「アレルギーの日」と制定し、2月17日~23日をアレルギー週間として、全国各地で医療相談や講演会を実施して、アレルギー疾患の啓発を行っています。この1週間は、アレルギー疾患に対しての的確な情報を国民に提供するための活動を推進する週間となっています。

アレルギーとは?

私たちの体には、細菌やウイルスなどが入ってきたときに、その敵と戦うために「抗体」がつくられる「免疫」という仕組みが備わっています。

この免疫の仕組みは、本来、細菌やウイルスなどの有害なものに対して働くものですが、この仕組みが有害でないはずの食べ物や花粉、薬剤、身近なダニやホコリなどに反応して攻撃するようになってしまうことで、体が不利益な状態(ダメージ)を受けてしまうことが「アレルギー」です。

アレルギーは4つのタイプに分けられていますが、「IgE」が関連するものはI型アレルギー反応(即時型)です。

アレルゲンとは?

アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン」といいます。アレルゲンの多くはタンパク質です。

食物、ダニやハウスダスト、イヌやネコなどのペット、花粉、薬剤など身近なところに多くのアレルゲンがあります。アレルゲンになる物質は人それぞれで、複数のアレルゲンに反応する方も多くいらっしゃいます。

IgE抗体とは?

アレルゲンが体に入ってくると、「免疫」の仕組みが働いて、このアレルゲンと戦うためにIgE抗体という抗体が作られます。このIgE抗体は皮膚や粘膜の細胞(マスト細胞)の表面にくっつきます。細胞にくっついたIgE抗体は、アレルゲンが入ってきたときにすぐに反応できる状態となっています。

そして再びアレルゲンが入ってくると、この細胞の表面でIgE抗体がアレルゲンと反応します。すると、IgE抗体がくっついている細胞(マスト細胞)が活性化して、ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されます。

この化学伝達物質が血管に作用すれば蕁麻疹やむくみが起こります。鼻の粘膜がむくむと鼻づまりが起こります。気管支平滑筋にこの化学伝達物質が作用すると喘息発作の状態となります。

アレルギーは非常に身近な疾患です。

アレルゲンやアレルギーの悪化因子を除去すること、除去できなくても減らすことが大切です。アレルゲンが特定できないこともあります。

日常生活で支障がないように、うまく付き合っていくことが大切だと思います。私たちはそのお手伝いをさせていただきます。ぜひご相談ください。

国立病院機構 福岡病院 アレルギー科科長 杉山 晃子