心療内科ってなぁに? 第3回 「心療内科」ってどのような患者さんを診ているの?②

「心療内科」ってどのような患者さんを診ているの?②

学会における“心身症”の定義は、『身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する』とあります。

この説明では難しいので、患者さんにはこのように説明しています。

「心療内科」では“ストレス”から生じる身体の症状を診ています。

「体」と「身体」について

このブログでは、「体」と「身体」を使い分けています。

「体(全体)」=「脳」+「身体」
「体(全体)」は「脳」と「身体」から成り立っていると説明しています。

どうしてこのように分けている、分ける必要があるのでしょうか?

それは発熱のような身体症状には、「脳」が原因で生じる症状と、「身体(臓器)」が原因で生じる症状と2種類の原因があるからです。「脳」が原因で生じる身体症状は検査データに出にくく症例数も少ないため、一般にはあまり知られていません。

「脳」と「身体」を分けて考えると、「心療内科」が診ている病気(症状)について理解しやすくなります。

「心療内科」と“ストレス”

“ストレス”という言葉が出てきました。

私たちは日常で、“ストレス”という言葉をよく使っていますが、“ストレス”って何?と質問されたときに皆さんは答えることができるでしょうか?改めて質問されると難しいですね。

“ストレス”について、きちんと説明するには多く書かなくてはいけなくなるので、詳しい説明は次回に。

ここでは、“強い刺激”=“ストレス”と覚えておいてください。 例えば、「怒鳴られた」「ペットが息を引き取った」などの精神面への強い刺激や「気温が高い」などの身体面にとって強い刺激などが“ストレス”になります。

「心療内科」では、“ストレス”が原因で生じた、動悸・息切れ・咳・食欲不振・ムカムカ・下痢・めまい・肩こり・筋肉痛・痛み、などの身体の症状を診ています(軽症の抑うつ症状・不安症状も診ています)。

これらの身体の症状の原因が「身体」になく(あるいは少なく)、「脳」にその症状の原因がある(多い)場合、「心療内科」が専門になります。

なかなか難しいですね。よくわからない!という声が聞こえてきそうです。

例えば・・・

  • 咳症状の場合、気管支喘息など「身体=肺」に原因があることが多いですが、咳症状の原因が「肺」ではなく、原因が「脳」にあるときがあります。
  • 発熱症状の場合、細菌性肺炎など「身体=肺」に原因があることが多いですが、発熱症状の原因が「肺」ではなく、原因が「脳」にあるときがあります。

「脳」に原因!?と聞くとものすごい病気をイメージするかもしれませんが、腫瘍など何かができているわけではありませんので安心してください。

“ストレス”は「脳」で処理されるので、「心療内科」は「脳」と関係している症状を診ています。

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉