心療内科ってなぁに? 第4回 “ストレス”ってなぁに?①

“ストレス”ってなぁに?①

最初から、難しい話が続いていますね。

「心療内科」について説明しようとすると、どうしても難しくなってしまいます。もう少し付き合って読み進めていただけると、読みやすい話も出てくると思いますので、待っていてください。

今回は“ストレスとは?”についての話題です。

前回、“強い刺激”=“ストレス”と覚えておいてください、とお伝えしました。

ストレスという言葉を医学分野で初めて用いたのはカナダのセリエ(Selye)さんです。セリエさんは1936年「種々の有害物質で生じる1症候群」という論文の中で、精神的・身体的に関わらず強い刺激に直面すると、型どおりで非特異的な生体反応を引き起こすことを示しました。

言い換えると「強い刺激を受けると(受け続けると)、型通りの反応(症状)が生じます」ということです。型通り反応とは、胸腺の萎縮・副腎肥大・消化性潰瘍などです。言い換えても難しいですね。

皆さんも日常の生活の中で“ストレス”という言葉を多く使っていると思いますが、その意味を知っていますか?“ストレス”って何?と質問されたときに、皆さんは答えることができますか?

本当は“ストレス”という言葉は簡略化した表現で、“ストレッサー(ストレス刺激)”と“ストレス反応(生体反応)”の二つの意味を含んでいます。

学会では言葉を使い分けて使用していますが、一般の方には“ストレス”という言葉が慣れているようなので、私たちも外来では“ストレス”という言葉を使っています。

ストレッサーとストレス反応

日常生活には様々な“ストレッサー(ストレス刺激)”があります。

例えば・・・

  • 寒冷・高温・騒音などの物理的ストレス刺激
  • 薬物などの化学的ストレス刺激
  • 細菌・花粉などの生物学的ストレス刺激
  • 職場のストレス・ご近所トラブル・試験などの心理的ストレス刺激 など

皆さんが“ストレス”という言葉を聞いたときにイメージするのは“心理的ストレス”だと思いますが、色々な“ストレス”=“ストレッサー(ストレス刺激)”があります。

これらの“ストレッサー(ストレス刺激)”に対しての体の反応が、“ストレス反応(生体反応)”です。

“ストレス”とは、「ストレッサー(ストレス刺激)」+「ストレス反応(生体反応)」

少し難しいと思いますが、ぼんやりと覚えておいてください。

このことを知っていると、“良いストレス”ってあるの? “悪いストレス”とはどんなストレス?という質問に答えていくことができるようになります。

答えを早く教えてよ!という方もいるかもしれませんが、一度に沢山の内容を示していくと皆さんの“ストレス”になりますので、答えは後日に・・・。

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉