心療内科ってなぁに? 第9回 「精神科」と「心療内科」の違い

「精神科」と「心療内科」の違い

  • 精神症状が中心の場合は「精神科」の領域になります。
  • 身体症状が中心の場合は「心療内科」の領域になります。

昔ほどではないですが、「精神科」受診への敷居は高いと感じられる方が多いようです。

同じように「心療内科」への受診も敷居が高いと言われますが、「精神科」よりは低く感じられるとのことで、“抑うつ症状”や“不安症状”などの精神症状があった場合に「心療内科」を受診しようと思われる方が多いようです。

けれども、精神症状の専門家はやはり「精神科」。

「精神科」の先生方はこれらの症例を扱っている経験が多いので、精神症状の場合はやはり「精神科」をお勧めします。

「心療内科」で扱えるのは、軽症の“抑うつ症状”や“不安症状”までです。

「内科」の中でも、循環器に関しては「循環器科」、呼吸器に関しては「呼吸器科」、消化器に関しては「消化器科」でみてもらっていますよね。とくに、特殊な病気の場合にはそれぞれの専門家にみてもらうことが改善の早道です。

同じように、“脳の異常”が原因のときも、精神症状が中心の場合は「精神科」、身体症状が中心の場合は「心療内科」でみてもらうことが改善の早道です。

餅は餅屋がおいしく、パンはパン屋がおいしく、ケーキはケーキ屋がおいしい。
専門のところがおいしいですよね。

入院に関して

「心療内科」と「精神科」では診療している病気が違うため、病院の形態が違います。

「心療内科」の場合は、他の「内科」の患者さんと同じ病棟になります。そのため、精神症状を持たれている患者さんへの対応は、限られたものになります。

わかり易く言うと・・・

  • 自分で自分をコントロールできる人、ベッド上で安静に・安全に過ごすことができる患者さんは、「内科」の病棟で診ることができます。
  • 自分で自分をコントロールできない人、ベッド上で安静に・安全に過ごすことができない患者さんは、「内科」の病棟で診ることができません。

精神症状の場合で、例をあげると・・・

  • 軽症の“抑うつ症状”や“不安症状”の患者さんで、家ではゆっくり安静加療ができない場合は「内科」の病棟で診療できます。
  • 強い精神症状がある方は、(基本的には)「内科」の病棟で診ることができません。
  • 認知症で症状が強い方は、ベッド上で安静に過ごすことができないので、「内科」の病棟では診療が困難となります。(転倒・骨折のリスクが高くなります。精神症状へのお薬を追加する場合があります。)
    ※認知症の患者さんでも肺炎など内科疾患を合併しているときは個々の病態に応じた診療を行っています。当院で診るときもありますし、精神科の病院に紹介するときもあります。

患者さんの状態によって対応は変わってきます。“どうかな?”と悩まれた場合はご相談ください。

「精神科」と「心療内科」の違い、わかっていただけたでしょうか?

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉