心療内科ってなぁに? 第10回 “長く続いている咳”で困っています

“長く続いている咳”でお困りの方へ

福岡病院は、呼吸器・アレルギー疾患の専門病院です。

そのため、心療内科では呼吸器症状を訴えられている“心身症”の患者さんを多くみています。どのような症状で来院され、どのように治療しているのか、少し紹介したいと思います。

呼吸器疾患の中で、一番多い症状は“咳”です。3週間以内の咳を“急性の咳”、8週間以上続く咳を“慢性の咳”といいます。

福岡病院では、咳症状の患者さんを多くみていますが、他の病院やクリニックで治療に難渋した“長く続いている咳”の患者さんも来院されます。

“咳”の原因には、いろいろな要因があり、診断に苦慮することがあります。

  • 肺炎や喘息、間質性肺炎などの呼吸器の病気
  • 後鼻漏、副鼻腔炎などの耳や鼻の病気
  • 胃酸逆流や誤嚥など消化器系の病気

中には、ストレスが関係している症例もあります。

診断・治療

“咳症状”を訴えられている患者さんは、まず呼吸器の専門医が対応します。

呼吸器系に病気がないか、採血・レントゲン・CT・呼吸機能検査などで検査し、診断・治療を行っていきます。

呼吸器科の視点で病態がはっきりしない場合には、アレルギー科・耳鼻科・心療内科と連携を取りながら対応していきます。 

※他の病院で十分に呼吸器系の検査がされている“咳症状”の患者さんについては、直接心療内科に紹介いただくこともあります。当院の心療内科医師は、呼吸器疾患のトレーニングも受けていますが、「やっぱり原因は呼吸器?」「呼吸器疾患の治療を優先した方が良い」「呼吸器科と併診した方が良い」と感じた場合は、呼吸器科での再評価をお願いしています。

心療内科を受診される患者さんの咳症状

さて、心療内科に紹介される“長く続いている咳”の患者さんはどのような方がいるでしょうか?

最近多く受診されるのは、「咳喘息」と診断を受けている患者さんです。

気管支喘息(喘息)はアレルギーやその他の要因で気道に炎症が発生して、ゼーゼーと音がする“喘鳴”や“咳”といった症状がでます。ひどい時には“呼吸困難”が生じます。季節の変動、気温の変動、湿度の変動などでも症状がでたりひどくなったりすることがあります。

喘息の中で、“喘鳴”が無く咳症状だけが出るものを「咳喘息」と言います。「咳喘息」は「喘息」と同じようにステロイド剤を使用したり、気管支を広げるお薬を使うと改善するのですが、これらのお薬を使っても改善しない患者さんがいます。このような患者さんは、“ストレス”や“ストレス”によって生じる“神経の過敏性”が病態に関係していることがあります。

その他にも、「風邪をひいた後から咳が長く続いています」「風邪にかかるといつも咳が長引きます」といった方も来院されます。このような患者さんは「感染後咳嗽」という病名になりますが、その中でも“ストレス”やストレスによって生じる“神経の過敏性”が症状の悪化に関わっていることがあります。

  • ストレスが“咳症状”の原因になるの?
  • ストレスが“咳症状”の悪化に関係しているの?

皆さんは、このように思われるかもしれませんね。

次回は、“ストレス”と“咳症状”についてお話しましょう。

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉