心療内科ってなぁに? 第12回 “咳症状”と“ストレス”との関係①

“咳症状”と“ストレス”との関係①

“咳”と“ストレス”がどのように関係しているか?先ずは復習です。

“ストレス”ってなぁに?

ストレスとは、「ストレッサー(ストレス刺激)」+「ストレス反応(生体反応)」でしたね。

皆さんが“ストレス”という言葉を聞いたときにイメージするのは、「怒鳴られた」「ペットが息を引き取った」「職場に嫌な上司がいる」「難しい試験がある」などの“精神面への強い刺激”=“心理的なストレス”だと思います。

“心理的ストレス” “ストレス刺激”は、目や耳などで知覚され中に入り、神経を通って脳に伝わります。これらの情報は過去の体験や記憶と比較されて、刺激の程度によってさまざまな“ストレス反応=ストレス刺激に対する反応”が生じます。

その中でも“これは強い刺激だ”と認識されると、“ストレス反応=ストレス刺激に対する反応”も強く生じて、ドキドキする・冷や汗をかく・涙が出るなどの症状も、強いものとなります。

思い出しましたか?“ストレス”の情報は「脳」で処理されているので、“ストレス”の話題になった時は、「脳」や脳につながっている「神経」の話がでてくる、と覚えておいてください。

“ストレス”は「脳」や「神経」と関係しています。

咳の役割

では、“咳”はどうでしょうか?

咳の役割は、気道内に入ってきた“異物”を取り除くこと。

“異物”が気道にあることを感知して、そして、「咳反射」でゴホッと取りのぞく。

この「咳反射」に「神経」が関係しています。

反射について

皆さんは「反射」という言葉を知っていますか?

例えば、足を組んで膝を“コン”とたたくと、“ビョン”と膝が少し跳ね上がる・・・膝の「腱反射」。知らなかった人は試してみて下さい。自分の足でもいいし、人の足でもいいです。

何でも経験することが大切です。やってみると楽しいし、勉強になります。

“反射”について、他の例をあげてみましょう。

皆さんは、熱いものを触ったらどうしますか(どうなりますか)? “あちぃ!”と言って、手を引っ込めますよね。これも「反射」です。熱いもので手を傷つけないようにするための回避行動です。

咳とストレス

さて“咳”と“ストレス”の話に戻りましょう。

「咳反射」「腱反射」「“あちぃ!”の反射」全ての「反射」には神経が関わっています。

外界からの刺激(異常・危険な刺激)を神経が感じ取ると、その情報は脊髄や脳幹に伝わり、そしてすぐに「指令」の情報が送り出されます。

  • “異物”があるときは、「咳をして“異物”を出せ」という指令が出されます。
  • 膝を“コン”とたたくと、“ビョン”という指令が出されます。
  • “あちぃ!”があると、「手を引っ込めろ」という指令が出されます。

これらの反応には、「神経」が重要な役割をはたしています。

まとめると、“咳”=「咳反射」には、「神経」が大きく関わっています。

最初に復習しましたが、“ストレス”も「神経」が大きく関わっています。やっと“咳”と“ストレス”とがつながりました。

どちらも、「神経」が関係しています。

皆さんのなかで、“咳”と“ストレス”の関係つながりましたか?

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉