心療内科ってなぁに? 第20回 あなたは“シャキシャキ派”?“くたくた派”?③

あなたは“シャキシャキ派”?“くたくた派”?③

あなたは“シャキシャキ派”?“くたくた派”?の続きです。

“シャキシャキ派”の他の特徴としては、漬け物は浅漬けを好む、緑茶を好む、肉類を好む(少しくらい油が多くても平気)、ごはんは少しでOK(後で食べる)。

“くたくた派”の他の特徴としては、漬け物は深漬けを好む、紅茶やウーロン茶を好む、肉類は少なめ(油が多いと下痢をする)、ごはんを先に食べる(たくさん食べたい)。

これらの好みも、特に「胃腸」に熱がこもりやすいか、逆にあまり熱が無いかという体質に基づいています。

漬け物は、長く発酵させればさせるほど熱が加わります(消化に似ている?)。

紅茶やウーロン茶は、お茶っ葉を発酵させて作るのでその過程で熱が加わり葉っぱが変化していきます。

肉類の消化には多くの熱が必要なようです。また、2本足より4本足の動物ほど、油を溶かす融点が高くなる傾向があります。それ故、肉や油は、おなか=体の中側=「胃腸」の温度が高くないと体内で消化吸収しにくくなります(多分1~2度の微妙な温度の違いだと思います)。

炊き立てのごはんは熱を多く保持し保温力も抜群です。「胃腸」に熱が少ない人はごはんが好きです。逆に熱が多い人は少なくてもOKと感じます。

ちなみ漢方薬で使われる“生薬”も火を入れることで性質が変わっていきます。

皆さんご存知の生姜、漢方薬では“生の生姜”、“干した生姜”、“蒸して乾燥させた生姜”と使い分けています。生の物は巡らせる力が強く、火を入れれば入れるほど体を温める力が増します。

温める目的で生姜を紅茶に入れる際は、生の生姜よりも少し置いて熟した生姜がよさそうですね。また、子生姜より親生姜の方がよさそうですね・・・と書きましたが、皆さんの“好み”を一番大切にしてください(答えは体が教えてくれます)。

“シャキシャキ派”か“くたくた派”かは、体質によって決まる

どうして、“シャキシャキ派”“くたくた派”に分かれるの?

これは体質によります。環境によっても影響は受けますが、基本的には体質によって決まるので“どうして”と理由を探さないでください。ですので“シャキシャキ派”と“くたくた派”で「どちらが良い?」などケンカはしないでくださいね。

この話を読んで、家族間、夫婦間の食卓での“永遠の論争”「もっと野菜を煮込んでよ」「私は生で食べたいの!」が終結してもらえたら嬉しいです。「時にはサラダでいいよ、でもドレッシングはかけさせてね」、「鍋のこちら側はくたくたね」など、お互いが譲り合って楽しい食卓をつくりましょう。

このブログによって、皆さんのちょっとした“ストレス”が減ることを願っています(笑)。

(ちなみに塩分や濃い味のものは野菜内の水分を動かすので“くたくた”の方向に変化させます。)

また、子供の時から体質に隔たりがある方もいます。「何でこの子は食事が極端なの?」と感じている親御さんの悩みが少しでも減ってくれればと思っています。(ただし、お菓子類は別物です。あくまでも普通の、自然の食事での話です。)

健康の秘訣はバランス

健康になるためには、“シャキシャキ”“くたくた”のどちらを多くとれば良いですか?

この答えは、「胃腸に聞いてみてください」ということになります。好みのものを選んだら良いと思います(ポイントは知識に頼らず身体に聴いてみることです)。

けれども、どちらかに偏り過ぎるとこれもまた病気になってしまうので、自らの好みを知っておいて、例えば“シャキシャキ”は7割、“くたくた”は3割など、少しだけ逆の物も食べてみると健康に近づけると思います。

健康になる秘訣は“バランス”です(逆に“こだわり”や“極端”が強くなり過ぎると症状が出やすくなってきます)。

あなたは“シャキシャキ派”?“くたくた派”?いかがでしたか?

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉