治療に関するお話①
- 心療内科ってどのような治療をしているの?
- どのようにしたら治っていくの?
この話題については、皆さん興味があるようです。少し治療に関する話をしましょう。
(治療の話を始めるととても長くなってしまいます。また、個別の症例で治療は変わるので、ここでは基本的な考え方や方向性についてお話します)
先ずは患者さんの言葉を紹介しましょう。
これまで、治療を始める際に患者さんから色々な話をききました。
- お薬を飲むと自分が自分でなくなるようで怖いです
- うつ病?不安症?みんなからそのように思われるのは嫌だな
- お薬は必要ですか?お薬なしで治る方法はありますか?
- 私はお薬を飲まずに自分で何とかします
- 脳の中をいじられているようで嫌だなぁ~?
- マインドコントロールされませんか?
皆さんも、同じような疑問や不安を感じたことがあるのでは?
このブログを読み進めていくと、このような疑問や不安が減っていくと思います。(そうなるように目指して書いています)
さて、繰り返しになって“耳にタコができる”かもしれませんが(若い人はこの表現がわかるかな?)、“ストレス”や“ストレス関連の症状”について復習しましょう。
原因についての理解が深まれば深まるほど、治療についてもわかってきます。
お薬への理解も深まっていきます。
ストレスについて
“ストレス”とは、「ストレッサー(ストレス刺激)」+「ストレス反応(生体反応)」
“ストレス”、“精神面への強い刺激”= “心理的なストレス”
“心理的ストレス” “ストレス刺激”は、目や耳などで知覚され中に入り、神経を通って脳に伝わります。
これらの情報は過去の体験や記憶と比較されて、刺激の程度によってさまざまな“ストレス反応=ストレス刺激に対する反応”が生じます。
この反応が過剰になったり、逆に反応できなくなった時に、異常な反応=“症状”として私たちは自覚します。
その“症状”の一つが“咳症状”です。“ストレス”が関係する“咳症状”には、
“緊張”→“過敏になる”→“過敏に反応してしまう”
(緊張があると過敏になる、そして過敏に反応してしまう)
このパターンが背後にあります。
どうして、このような「脳」や「神経」の異常な状況が生じるか覚えていますか?
ストレスによって生じる異常
“情報”が「多すぎる」と、スマートフォン(スマホ)は機能が遅くなったり、異常な動きがでたりします。
「脳」も同じでしたね。“情報”が「多すぎる」「強すぎる」と「脳」の機能が遅くなります。
さらに“情報”が「多くなる」「強くなる」=「考え過ぎる」がずっと続くと、「脳」に異常が生じます。
では“ストレス関連の病気”の原因である「脳を働かせすぎている」とは、どのような状態でしょうか?イメージできますか?
これまで、スマホやコンピューターの例をあげてきましたが、
- 人で例えると「ずっと走っている」
- 自転車で例えると「ずっとペダルをこいでいる」
- 車で例えると「アクセルを強く踏んでいる」
という状態になります。
“ストレス”や“ストレス関連の症状”について、思い出しましたか?
脳を働かせすぎている状態
心療内科に来られる患者さんは、「脳を働かせすぎている」状態になっています。
このことを患者さんに伝えると、「え~そんなことないですよ」と、返事が返ってきます。
「これまでずっとこのパターンで「脳」を使ってきました」
「他の人がどのように「脳」を使っているかわからないです」(当たり前ですよね、人の脳の中身をのぞき込むことはできないので)
「こんな私じゃダメですか」
などと、話されます。
「もちろんダメではないですよ」
「その使い方で、これまで楽しいこともあったし、色々な成果もあったと思います」
「けれども、今は使い過ぎて脳と神経の調子が崩れている状態になっています」
と患者さんに伝えています。
さて、このような状態になってしまった「脳」と「神経」、どうして患者さんたちは、このようになるまで(症状がでるまで)「脳」と「神経」を使ってしまったのでしょうか?
“ストレス”の症状が出る患者さんには、「脳」と「神経」の使い方に共通のパターンがあるようです。
国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉