治療に関するお話② “考えることが大好き”
患者さんから、「どうしてこのような病気になったのでしょうか?」という質問をよく受けます。
この質問に対して、「考えることが大好きだからですよ」と返答しています。けれども、最初からピンとくる人は少ない様です。
- そんなことないですよ、私はあまり考えていませんよ
- 何もできていないので、もっとやらないと、考えないと、といつも思っています
などと話されます。極端な人は「私はバカですので、全然頭は働いていません」と話されます。
治療の開始時は、患者さんの「脳」や「身体」には余裕が無いので、
- 「まずはゆっくり休みましょう」
- 「特に脳を休ませましょう、ゆっくり眠ることが大切です」
- 「自分のことをバカと言わないでくださいね、色々なことを多く考えていると思いますよ」
- 「気が付いていないかもしれませんが、脳をたくさん使っていると思いますよ」
などと、伝えています。
治療が進んで調子が良くなり、「脳」に余裕ができた時に、
- 「少し、振り返ってみましょう」
- 「脳を多く使っていませんでしたか?」
- 「考えること・気になることに、度が過ぎていませんでしたか?」
- 「考えることが大好きなのでは?」
と話しています。
- そういえば、ご飯作ったら次何しよう、あれもしなくては、これもしなくては、と考えていますね
- 仕事をしていても、お客さんのこと・お金の管理の事・今後のことなど、いっぺんに色々考えています
- 部屋の隅にある「ほこり」が気になります、お風呂場の「水滴」も気になります。気になるとずっと考えてしまい、1日に何回も掃除したくなります
など、日常のことへの気付きが出てくるようになります。
このような時、「やっぱり考えることが大好きなのですね」と伝えると、「そうですね」と少し認めてくれます。
これらの会話を振り返ってみると、「どうして“ストレス”の病気になるの?」という質問や、治療の方向性についての答えが見えてきそうです。
また「どのようにしたら“ストレス”に上手に対応できるようになるのか?」についてのヒントも出てきそうです。
皆さんは、“ストレス”で不調を感じている時どのようにしたらよいと思いますか?
そして、お薬はどのような役割をはたしていると思いますか?
考えてみて下さいね。
国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉