心療内科ってなぁに? 第23回 治療に関するお話③ “好きの向こう側”

治療に関するお話③ “好きの向こう側”

どうして「脳を働かせすぎている」状態になってしまうのでしょうか?

この状態は、人で例えると「ずっと走っている」、自転車で例えると「ずっとペダルをこいでいる」、車で例えると「アクセルを強く踏んでいる」状態になります。

マラソンが好きな人は、他の人より多く「走っています」。

自転車に乗ることが好きな人は、他の人より多く「ペダルをこいでいます」。

自動車に乗ることが好きな人は、他の人より多く「車のアクセルを踏んでいます」。(仕事で必要があるからという時もあります)

他の人よりも多くできるのは、やはり「好きだから」です。

他の人より多く「脳を使っている」「脳のアクセルを踏んでいる」状態になるのは、やはり「考えること」が大好きだからです。

「嫌いなこと」であれば多くできませんよね。嫌と思いながら(イヤイヤ)やっている事は、途中でやめてしまいます。

「考えることが嫌い」「考えることが苦手」であれば「考える」ことを多く行いません。イヤイヤ「脳」を使っている人は、途中で使うのをやめてしまいます。

この話は、良いとか・悪いとかではありません。得意・不得意といった人それぞれの特徴の話になります。

走っている、自転車にのっている、自動車を運転している、これらは目に見えるので、“好き・嫌い”、“得意・不得意”、“どのくらい使っているか・乗っているか”について容易に知ることができます。

けれども、人の頭の中をのぞくことはできないので、“「脳」をどのくらいの頻度で使っているか”や“どのくらいの時間「脳」を休めているか”については、とてもわかり難いです。

普通は、他の人の頭の中など気にしないと思います。私も治療に携わっているなかで、“「脳」をどのくらいの頻度で使っているか”、“どのくらいの時間「脳」を休めているか”について意識するようになりました。

そして、心療内科の外来を通して多くの患者さんを診ているうちに、「考えることが好き」な人が「脳」を多く使っている好きだからこそ「脳」を長い時間使うことができる、という事に気が付きました。

なんとなく原因がわかってきましたか?

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉