心療内科ってなぁに? 第24回 治療に関するお話 番外編 “自然と健康学びの場①”

治療に関するお話 番外編 “自然と健康学びの場①”

ストレス関連の病気は、“強いストレス”から生じた「脳の異常」が原因で精神症状や身体症状が引き起こされます。“精神症状”が中心の場合は「精神科」の領域になり“身体症状”が中心の場合は「心療内科」の領域になります。

心療内科を受診される患者さんは、精神症状・身体症状のどちらとも示していることが多いので、症状が軽い場合は“精神症状”も心療内科で診ています(症状が重たい場合は精神科に紹介しています)。

また、治療の過程で社会復帰の際に必要と判断した時には、近隣の精神科の集団療法(リワークプログラム)を紹介しています。

自然と健康学びの場

当院では、下記のように段階を踏んだ治療を行っています。

  • (1) 内服薬を用いての治療
  • (2) 症状が安定したら、お薬の減量
  • (3) お薬を減量・終了するために必要な技術の獲得

これまで外来では(1)(2)を中心に、(3)については外来の中で可能な範囲で行っていましたが、当院でも“瞑想法”や“リラクゼーション法”の技術を学べる場をつくりたいと考えて「自然と健康学びの場」を始めました。これは、一般診療の中で行っている集団療法・作業療法になります。

内服で症状が安定している方、第2第4水曜日に参加できる方、研究に同意してもらえる方を対象にしています(研究とはこの治療法の効果をみていくもので、治療開始前と以降6カ月ごとの2種類の質問紙への記載と、技術の獲得状況について記載をお願いしています)。お薬を減らして、最終的にはお薬を修了して心療内科を卒業することを目標としています。

この「自然と健康学びの場」では、20分程度“瞑想法”や“リラクゼーション法”を行い、その後60分程度「自然農」のフィールドにでて作業を行っています。

“瞑想法”“リラクゼーション法”は、マインドフルネスの“呼吸瞑想法”や合気道の“呼吸法”をもとにして、“リラクゼーション技術”の獲得を目的にプログラムをつくりました。

“フィールドワーク”では、「自然農」を通して「あるがまま」のエッセンスを経験してもらうことを目的にしています。「自然農」は川口由一さんのやり方で行っています。

お薬を減量して心療内科を卒業するためには、運転手(患者さん)が“脳のブレーキ技術を身につける”ことが必要と考えています。“技術を身に付ける”ことは、自転車に乗れるようになるのと同じで少し時間がかかります。また、練習する場所もあったら技術習得の手助けになると考えています。

これから少しずつ(1,2カ月に1回程度で)この「自然と健康学びの場」について紹介していく予定です。

国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉