<心療内科ってなぁに?第117回心の成長(病気と健康)の話(5):“脂肪分” “あぶら”の話>
“心”は“体の運転手”。第2週は“心の成長(英語ではCoro Heartの成長)= 運転技術の習得”や“どのようにしたら行動は成長する?”についての話です。“体(脳+身体)の使い方=運転技術”を習得し、健康を作っていくことができるようになると、症状が出にくくなりお薬が減っていきます。
3月に「膵臓」「糖尿病」「食行動」の関係について話をしました。「糖尿病」は“糖分”の長期過剰摂取と関係していますが、今回は“脂肪分” “あぶら”の話です。
好きな事、得意な事の向こう側に病気があります。食べることが好きで、いつもお腹いっぱい食べていると、糖尿病だけでなく高脂血症や脂肪肝という病気になってしまいます。たくさん食べるときは糖分だけでなく脂肪分も多く食べています。焼き鳥、焼肉、すき焼き、ラーメン、美味しいですよね。ついつい食べ過ぎてしまいます。
脂肪分を処理するための消化酵素は膵臓でつくられています。消化酵素によって分解された脂肪分は腸管で吸収され肝臓に運ばれて処理されます。体内で使われない脂肪分は肝臓の細胞や脂肪細胞によって蓄えられ、いざという時のエネルギー源になります。脂肪分は細胞の膜を構成したり、胆汁として消化を助けたり色々な役割を行っていますが、長期間多く食べ続け、体内に脂肪分が多くなりすぎると病気になってしまいます。脂肪分が多くなり過ぎると、どのような病気になるでしょうか?
油がテーブルに着くとどうなりますか?油を多く使うコンロ周りはどうでしょうか?糖分がテーブルに着くのと同じようにベタベタになってしまいますね。掃除を少しさぼっていると、いつの間にか黒くベタベタしたものがコンロとか換気扇にこびりついている、このような経験はありませんか?経験がない方は、一度掃除をしてみて下さい、こびりついた油を掃除するのはなかなか大変です。脂肪分が血管内に多いとどうなるでしょうか?もちろん血管の中がベタベタになってしまいます。ある程度のベタベタは細胞によって掃除されますが、過剰なベタベタがあると血管が詰まってしまいます。心筋梗塞や脳梗塞などの原因になります。また、脂肪分を蓄えている肝臓の細胞にも限界があります。いっぱい脂肪分を溜め込んで、もうこれ以上溜め込めない・・・というようになると、細胞が壊れたり、炎症を起こしたりします。これらは肝癌のリスクになります。
この高脂血症や脂肪肝を防ぐには、どうしたらよいでしょうか?病院に行って検査を受けましょう。病気がはっきりしたら、内服薬など必要な治療を受けて下さい。そして食事の摂取について指導してもらい、適切な量の食事をとれるようになりましょう。高脂血症や脂肪肝といった病気は長期間にわたって脂肪分を摂取したことが原因なので、摂取を控えることが大切です。この飽食の時代、普通の量と思っていても多く摂取しがちなので注意して下さい。一方、過剰な摂取とは反対の症状(病気)もあります。脂肪分が少なくなり過ぎると皮膚がカサカサしていきます。脂肪分は体内の潤滑油的な働きもしているので適度に摂取するよう心がけましょう。バランスが大切ですね。
いずれにしても、大切なことは“健康を保とう”とする「運転手の心」と「行動」です。「心」は目に見えませんが「行動」は目に見えます。そして脂肪肝もエコー検査で診ることができます。「肝臓」の健康を保つためには、自分自身の「食行動」にどのような特徴があるのかを知ることが大切です。
「身体」の機能をその時々に合わせて上手に使えるようになると、異常は生じにくくなり、症状(アラート信号)は減っていきます。“心”は体(脳+身体)の運転手。「肝臓」「血管」のメンテナンスが上手になると、これらの臓器の健康を保てるようになり、病気になりにくくなります。
国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉
