<心療内科ってなぁに?120回 医食農の話(6)>
第4週は自然(食事)と健康についての話題です。自然農の話だけでなく、食べ物と味との関係やエネルギー、漢方薬についても話していきます。
先月は桂枝湯について話をしながら、東洋医学的な視点でみた風邪の症状について説明しました。今回は皆さんも良く知っている葛根湯の話です。葛根湯は、桂枝湯に葛根(かっこん)と麻黄(まおう)が加わった処方です。風邪症状で汗をかいていない人に使います。
先ず、桂枝湯のおさらいです。体表のエネルギーが不足し、外部からの寒さに負けてしまって、ゾクゾクという寒気に続いて、発熱、頭痛、倦怠感といった症状が出たものが風邪症状です。特に、膀胱経(背中)のエネルギーが不足してこの部分に症状が生じるので、膀胱経(背中)のエネルギー不足を補う事が治療のポイントになります。補い方は色々あり、桂枝(けいし)を用いたり、暖かいお茶を飲んだり、生姜を混ぜて飲んだり、背中を温めたりします。針やお灸を用いて膀胱経のエネルギーを補う方法もあります。
教科書には、発汗している人であれば桂枝湯を使い、発汗していない人には葛根湯を使うと記載されています。葛根湯は、桂枝湯に葛根(かっこん)と麻黄(まおう)が加わった処方ですが、これらの生薬が加わるだけで、対応する症状が変わってきます。ちなみに、漢方薬は風邪の治療を得意としており、細かく分けると17種類の処方があるとも言われています。
葛根 → 名前の通り葛の根です。甘味で滋養作用があります。
麻黄 → エフェドリンという物質が含まれています。交感神経系を活性化して発汗を促します。
桂枝湯は、桂枝(シナモン)の作用を用いて膀胱経(背中)のエネルギーを補い、他の4つの生薬:芍薬、生姜、大棗、甘草のサポートを得て、風邪症状を改善に導いています。桂枝湯は発汗作用が少ないので、風邪でも発汗症状がある人に用います(発汗させるとエネルギーも抜けてしまい良くありません)。汗をかけていない人に桂枝湯用いると、余計に熱がこもってしまうことがあるので、風邪でも発汗症状がない人には麻黄という毛穴を開いて汗を出させる生薬が加わります。
どうですか?桂枝湯、葛根湯についての理解が深まりましたか?これらの処方を勉強すると、東洋医学の視点が加わり風邪症状についての理解が深まります。西洋医学ではウイルスが風邪症状の原因と考えられています。インフルエンザやコロナといったウイルスによって風邪症状が生じることも事実です。一方、桂枝湯や葛根湯を飲むと症状が改善に向かうということも事実です。「西洋医学」or「東洋医学」といった一つの視点だけでなく、「西洋医学」+「東洋医学」+「それ以外の医学」といった多くの視点で症状や原因を診ていくことが大切だと思います。「慣行農法」「有機農法」「自然農」といった多くの視点で食を考えていくことが大切、ということにもつながります。



“ど根性大根”のその後です。順調に育っていますね。この大根は収穫せずに“大根の一生”を観察しようと思っています。
国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉
