“心”は“体の運転手”。 メンテナンス技術と運転技術(ドライビング技術)、これらの技術を身に着けていくことが、「心Coro Heartの成長=行動の成長」につながります。“体(脳+身体)の使い方=運転技術”を習得し、健康を作っていくことができるようになると、症状が出にくくなりお薬が減っていきます。
オーバーワークとは、能力や許容量を超えて、過度な業務や長時間労働が継続的に課せられている状態をいいます。この状態が長く続くと、「疲れた」「足が痛い」といった肉体的苦痛や、「しんどい」「やるきがでない」といった精神的苦痛を引き起こします。一般的に、オーバーワークという言葉は、行動(活動)に関する表現として多く用いられていますが、私たちの臓器(脳や心臓、肝臓など)に対しても用いることができます。
スポーツや運動が過多になると、筋・腱・靱帯といった部位でオーバーワークが生じ、これらの部位で炎症、部分断裂、関節痛といった異常や症状が現れます。例えば、手足や全身を多く使うマラソン選手は、筋肉の炎症、疲労骨折といった異常が出現します。足を多く使うサッカー選手は、膝や足首に関係する障害が生じやすく、手や腕を多く使う野球選手は、肘や手指に関係する障害が生じやすくなります。
肝臓や膵臓などの内臓のオーバーワークも病気を引き起こします。
『たくさん飲んで、美味しいものを食べ過ぎる』ことを続けていると、非アルコール性脂肪性肝疾患NAFLDといった病気を引き起こします。これは、肝臓の酷使:肝臓の代謝機能を超えた過剰な飽和脂肪と炭水化物の摂取が原因です。
『アイスクリームやまんじゅう、スナック菓子など甘いものが大好きで、毎日食べている』と体重が増えていきます。体重が増えて、細胞に糖分を蓄えることができなくなると、糖尿病になります。これは、糖分代謝に重要な“インスリン”を作っている膵臓の酷使が原因です。
脳のオーバーワークも精神症状や身体症状を引き起こします。
周囲環境に適応するため、温度変化、病原体などの物理的刺激や、仕事上の問題や人間関係などの心理社会的刺激に対して、私たちの脳は日々休むことなく対応しています。これらの刺激に加えて、数時間にわたってスマホを触る、コンピューターゲームをするなど、さらなる負荷を脳に与えると、脳はオーバーワークになってしまいます。脳のオーバーワークは“抑うつ症状” “不安症状”といった精神症状や、“動悸” “息切れ” “咳” “胃もたれ” “吐き気”などの身体症状を引き起こします。
年齢が若い時、30歳前は、手足や内臓の機能、脳の機能には余裕があり、少しくらいオーバーワークしても、しっかり休みを取れば“疲れ”は取れ、元気を取り戻せます。少しぐらい食べ過ぎ飲み過ぎても、次の日には胃もたれなく仕事に行けます。けれども、40歳すぎ、50歳を超えると、手足や内臓の機能、脳の機能には余裕はなくなり、少しのオーバーワークが翌日や翌々日のパフォーマンス低下につながってしまいます。
呼吸器の検査では肺年齢、血管内の抵抗を調べることで血管年齢を知ることができます。今は、脳神経機能の衰えについても知ることができる時代になっています。脳神経系機能は年を取るにつれては衰えているようで、若い時から脳をオーバーワークしている人は、脳機能が早く衰えるのでは?と私たちは危惧しています。健康のために、体(脳と身体)を大切に扱うように心がけて下さい。
国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉
