心療内科ってなぁに? 第126回 医食農の話(9)
<心療内科ってなぁに? 第126回 医食農の話(9)>
第4週は自然(食事)と健康についての話題です。自然農の話だけでなく、食べ物と味との関係やエネルギー、漢方薬についても話していきます。
先日、アニメ映画を見ました。昔からある映画で再放送がある度に楽しんでいます。この中に好きな言葉あります。
「土に根を張り、風とともに生きよう」
「種とともに冬を越え、鳥とともに春を歌おう」
ここ数年の夏の暑さは異常に感じます。ひと昔であれば、8月の夏の真っ盛りに「暑いな~、どうにかならないか」「お~35度越えている、すごい!」と言っている日が、数日間ありました。しかし、近年は7月の中旬頃から35度を超える日が出ています。そして、8月の多くの日は、最高気温が35度を超えていました。9月に入っても35度を超える日が多くあります。過剰な暑さの影響で、夏野菜もうまく育たなくなってきています。トマト、ナス、ピーマン、きゅうりがあまりとれず、値段も高くなっています。
この異常な暑さは、化石燃料を大量に使ってきたこと、木材などを資源にするために森林伐採することによって、温室効果ガスの濃度が高まり熱の吸収が増えたことが要因と考えられています(地球温暖化:地球全体が以前より暖かく、暑くなっている)。もちろんこれらを行っているのは私たち人間で、化石燃料の使用量は、産業革命以降飛躍的に増えています。
身近なところでは、「アスファルトの照り返し」も暑さに起因していると感じます。土が身近にあり、田に水が張ってあれば、この暑さはもう少し和らぐことでしょう。土の上に草が生えていると、明け方には夜露が草につき、その水が地面を少し冷やしてくれるでしょう。
このとても暑い夏に、草刈りで畑に出ていると「大変だ!」「しんどいな~」と感じます。刈っても刈っても、7~9月は数週間で再び元の長さに戻ります(自然のエネルギーのすごさを感じます)。自然農では、太陽のエネルギーを吸収した雑草を栄養源として野菜を育てているので、畑の中の草刈りは必要以上に行いません。しかし、畔や道路などの共用の場はきちんと手入れする必要があるので、草刈りを行っています。畑内の作業の多くは手鎌で行いますが、草刈りは手作業では追い付かないので、電動やエンジン式の草刈り機を使用して対応しています。
少し話が脱線しましたが、皆さんは
「土から離れすぎていませんか?」
「生活の中で風を感じていますか?」
健康を手に入れるには、これらに関する教育も必要です。
衣食住の教育や医食農の教育は、健康的に生きるための根幹となる学びです。
「皆さんはアニメで出てくる○○人になっていませんか?」
「都会は空に浮かぶ○○島になっていませんか?」
私も○○人になってきている?
土から離れた都会では、衣食住から離れた教育がメインになっていませんか?
そうであれば、私たちの未来、子供たちの未来はどうなるのでしょう?
ちょっとこのように感じてしまいました。
かといって、原始人みたいな生活もできません。電動の草刈り機も必要です。
脳を使う環境、身体を使う環境とのバランスが大切ですね。ちなみに脳と身体のバランスは、3:7が良いようです(科学的な根拠はありませんが・・・)。
脳の教育(学問・知識・計算)と身体の教育(遊び、衣食住の教育)も3:7が良いかもしれません。
「土に根を張り、風とともに生きよう」
「種とともに冬を越え、鳥とともに春を歌おう」
この言葉、やっぱり好きだな~。都会の中で土から離れて日常を過ごしている私にとって、この言葉を口ずさむと、健康になれそうな気がします。
国立病院機構 福岡病院 心療内科 平本 哲哉
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